ニュースレター号

[短信] 韓国西北端・白翎島(ペクリョンド)から

サポートメンバーの皆さん、アンニョンハセヨ。韓国の徐台教です。

日本も猛暑とゲリラ豪雨の繰り返しかと思いますが、韓国も同じ状況です。ここ数日は全国的に豪雨で、各地で大きな被害が出ています。

私は今、白翎島(ペクリョンド)という島にいます。韓国の西北端に位置する島で、仁川(インチョン)から約230キロ離れた場所にあります。旅客船で4時間ほどかかりますが、昨日(18日)に上陸しました。

白翎島の位置です。いわゆる「38度線」の真下に位置します。


白翎島の位置です。いわゆる「38度線」の真下に位置します。

この島は5000人の住民よりも駐留する軍の数が多いほど、要塞化されています。いくつかの低い山の頂上にはドーム型のレーダーが設置され、ミサイル部隊も配備されています。

それもそのはず、最も近いところでは朝鮮民主主義人民共和国(以下、北朝鮮)とは約10キロしか離れていません。北朝鮮側も要塞化されており、文字通り最前線の島です。白翎島の目の前にある北朝鮮の「月来島(ウォルレド)」には、金正恩氏が2013年に視察に訪れたこともあります。

私がここに来た理由は、昨年12月3日に尹錫悦氏が宣布した非常戒厳に関連しています。戒厳に先立つ10月、北朝鮮の朝鮮中央通信は韓国から飛来したドローンが平壌の中心部にビラを撒布した後に墜落したと写真付きで報じました。

平壌で発見された無人機(ドローン)。韓国の国防科学研究所は、これが韓国のものであると事実上認めています。昨年10月、朝鮮中央通信より。


平壌で発見された無人機(ドローン)。韓国の国防科学研究所は、これが韓国のものであると事実上認めています。昨年10月、朝鮮中央通信より。

当時、韓国の国防部はこれを「確認しない(NCND:neither confirm nor deny、確認も否定もしない)」とかわしましたが、非常戒厳以降、これが尹錫悦の指示によるものだったという疑惑が持ちあがり、次々に情況証拠が明らかになってきました。

その核心は、非常戒厳の要件となる「戦時」を醸成するために、尹錫悦氏が北朝鮮を挑発したというものです。北朝鮮の反応を見て「尹錫悦が喜んだ」という証言も出てきましたし、東部・西部・忠武で4度にわたり計9台を北朝鮮に飛ばしたという話もあります。

現在は尹錫悦氏を逮捕した(二度目の逮捕です)特別検察官がこの疑惑を担当しており、内乱と共に最も重大な「外患の罪」での起訴に向けて捜査を進めています。

本論に戻ります。なぜ白翎島なのか。実は北朝鮮は発見したドローンに記録されていた航路を公開しました。その一番目に記録されている地点がここ、白翎島なのです。私は今回、その場所を特定するためにこの島を訪れました。

いったん、そのミッションを終えて今日の午後の船でふたたび仁川に戻ります。この取材は、書籍の締めの取材です。もうすぐ発売日を公開できるのですが、駆け込みでの取材となりました。

これを片付けてから、ニュースレターの本格更新に戻ります。皆さんにぜひ読んでいただきたい原稿がいくつか届いています。8月からの更新にどうかご期待ください。大変お待たせしてしまい恐縮です。

2010年3月に起き将兵46人が犠牲となった、北朝鮮による韓国の哨戒艦「天安」爆沈事件の現場も白翎島です。慰霊塔が建っています。


2010年3月に起き将兵46人が犠牲となった、北朝鮮による韓国の哨戒艦「天安」爆沈事件の現場も白翎島です。慰霊塔が建っています。

最後に、白翎島の写真をいくつか添付して終わります。最前線の島である一方、とても美しい自然の宝庫でもあります。地元の住民は「ドローンを飛ばした島」という印象が根付き、観光客が減ることを北朝鮮との紛争よりも恐れていました。これもまた現実でしょう。

それでは今日はここまでで失礼いたします。日本は明日参院選ですね。ぜひ投票所に足を運んでください。三連休の中日が投票日とは、国政選挙の日が平日かつ公休日となる韓国との違いを感じます。日本は解散選挙があり日程が流動的とはいえ、投票率には大きな差が出る他にないでしょう。

皆さま、猛暑や豪雨にはくれぐれもお気をつけください。いつもありがとうございます。(徐台教)

北朝鮮の甕津(オンジン)郡。白翎島も国は違えど同じ甕津郡の所属です。


北朝鮮の甕津(オンジン)郡。白翎島も国は違えど同じ甕津郡の所属です。

サゴッ海岸。全長3キロに及び、朝鮮戦争時には米軍の飛行機が空港として使っていました。世界でも希少な例とのことです。今日から海開きとのことでした。


サゴッ海岸。全長3キロに及び、朝鮮戦争時には米軍の飛行機が空港として使っていました。世界でも希少な例とのことです。今日から海開きとのことでした。

ヨントゥリム岩。龍が天に昇る様に似ているとのことから名付けられました。周囲は絶壁で壮観でした。白翎島は10億年前の地形が残っているとされます。


ヨントゥリム岩。龍が天に昇る様に似ているとのことから名付けられました。周囲は絶壁で壮観でした。白翎島は10億年前の地形が残っているとされます。

頭武津(トゥムジン)。この時は陽が出ていたこともあり、非常に美しい風景でした。


頭武津(トゥムジン)。この時は陽が出ていたこともあり、非常に美しい風景でした。

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