ニュースレター号

[68号] トランプ新政権と韓国、そして朝鮮半島

 サポートメンバーの皆さま、アンニョンハセヨ。年末年始はいかがお過ごしでしたでしょうか。前回のお知らせは未開封の方が多かったので、改めてご挨拶いたします。今年もよろしくお願いいたします。

 韓国は陰暦の正月を祝うため、1月1日だけがお休みで年末年始も通常運行という形でした。大晦日は毎年、ソウルの鐘閣(チョンガク)で鐘つきが行われる姿がテレビ中継されるのですが、今年は痛ましいチェジュ航空機事故を受け、鐘つきはありませんでした。

 これとは他に年々、お正月が陰暦にシフトしていることを感じます。

 韓国は元々、陰暦で正月を祝ってきましたが、日本による植民地支配の時期に太陽暦の1月1日だけが休日となりました。

 1945年の解放後にも太陽暦の1月1日から3日までが休日という形が維持され、これは1989年まで続いた後、陰暦の正月に戻った次第です。

 韓国では現在、太陽暦の1月1日、陰暦の1月1日(今年は1月29日)とその前後一日ずつの計4日が正月関連のお休みとなっています。ややこしいですが、日本とは異なる形お正月の話をしてみました。

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 前置きが長くなりました。何のお話しかと言いますと、ずっと仕事をしている気分ということです。

 尹錫悦大統領の非常戒厳に端を発する韓国政治の混乱は全く収まっておらず、尹錫悦氏の「捜査(逮捕)」と「弾劾」という二つの大きな出来事が現在進行形どころか、これからが本番という形です。

 こんな膨大な動きを追いながら南北関係にも目を配り、ニュースレターやYouTubeと書籍執筆と、本当に一杯一杯です。記事を読むだけでなく、関連書籍やペーパーを読んで、人とも会って話を聞いて…さらに子どもたちが長い冬休み(1月と2月いっぱいがお休みです)に入ったため、ご飯の用意も増え…

 と、このまま延々と愚痴り続けることになりそうなので本論に入ります。

 今号はひとまず、韓国の代表的な進歩派学者3人が読む、トランプ新政権と韓国そして朝鮮半島の2025年予想です。尹錫悦氏関連のお話しは来週(13日の週)のニュースレターで再度整理します。それまでにお時間ある方は、9日のYouTube特集をぜひご覧下さい。

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●トランプ新政権と韓国、そして朝鮮半島

 新年を迎え、朝鮮半島情勢の今後を識者に問うインタビューが韓国紙にいくつか掲載されています。その中から進歩派の著名人士3人のインタビューを紹介します。いずれも今年あるであろう進歩派への政権交代時には重要な役割を担うとされる人物です。

 まず、崔鍾建(チェ・ジョンゴン、51)元外交部第一次官です。

 文在寅政権(17年5月~22年5月)下で一貫して外交安保実務の一角を担った人物で、文大統領の外交安保分野の回顧録『辺境から中心へと』(24年5月発刊)の共著者としても知られています(この本は未邦訳ですが、崔鍾建氏本人に「翻訳が進んでいる」という話を聞いたので、今年には出るはずです)。

 同氏は延世(ヨンセ)大学政治外交学科教授です。崔氏のインタビューは1月2日の『ハンギョレ』に掲載されました。

 次は文正仁(ムン・ジョンイン、73)延世大学名誉教授です。

 言わずとしれた進歩派の外交専門家の「顔」です。文在寅政権では外交安保特別補佐を務めた人物で、崔鍾建氏も所属する「延政(ヨンジョン)」と呼ばれる延世大学政治外交学科閥の座長でもあります。文氏のインタビューは1月2日の『京郷新聞』に掲載されました。

 最後に、金錬鉄(キム・ヨンチョル、60)元統一部長官です。文在寅政権下の二代目統一部長官を務めた南北関係の専門家です。現在は仁済(インジェ)大学統一学部の教授も務めています。金氏のインタビューは1月7日の『ハンギョレ』に掲載されました。

 3つのインタビューに共通する質問は、▲韓国の非常戒厳が朝鮮半島情勢に与える影響、▲トランプ新政権と韓国、▲トランプ新政権と北朝鮮、▲南北関係となります。それぞれ見て行きます。

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(1)韓国の非常戒厳が朝鮮半島情勢に与える影響

 尹錫悦大統領による昨年12月3日の非常戒厳宣布と、それに続く現在の韓国の政治状況を米国がどう見ているか。 

 これについてまず、崔鍾建氏は「現在の大統領代行体制では米国との意味のある外交的疎通は限られる」としました。

 トランプ新政権にとって、「(韓国の)誰と通話すればいいのかから不確実だ」ということで、不確実性が韓国の足を引っ張っているという見解を示しています。今の「内乱事態(非常戒厳事態)」が終わるまで「耐えるしかない」と述べています。

 また、尹錫悦政権が南北間の緊張の高まりと連動させる形で『9.19南北軍事合意書』(18年)の効力を停止させたことについて、米国側からもこれを憂慮する声があったことを明かしています。

 具体的には先月離任した、ポール・ラカメラ国連軍・米韓連合軍・在韓米軍司令官がこれに反対していたと明確にしています。

 さらに非常戒厳に際し、その加担者のメモから「北方限界線(NLL)で北側の攻撃を誘導する」という内容が見付かったことに触れながら、尹政権は「戦争を誘導するために軍事合意書を無くそうとしたのではないか」とも推論しています。

 崔鍾建氏は、昨年12月3日に尹錫悦大統領が非常戒厳を宣布したことについて、米国や欧州のたくさんの学者や官僚、政治家からの質問を受けたとしながら、その反応が悪かったことも明かしています。これをひと言で「韓国の民主主義が嘲笑の対象になった」とまとめます。「米国は今後、韓国の保守勢力に対する評価を変えるだろう」ともしました。

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 文正仁氏は「米韓同盟の核心を『自由と民主主義、人権に基づく価値』としてきた尹錫悦氏が非常戒厳を宣布したことで、米韓の価値同盟の基盤が揺れた」と指摘します。

 また、国際社会における韓国のイメージも大きく失墜したとし、信頼回復のためには「憲法的・法律的な手続きに従い、憲法裁判所で罷免かどうかを決定し、内乱の嫌疑に対してはそれに合った司法的な判断をし、民主主義と憲政秩序を回復すること」が必要としました。

「弾劾局面が続く中で、与野党の対峙するといった政治的な不確実性が高まる場合、どんな外交的な努力をしても国際的な信頼を取り戻すのは難しい。誰が韓国政府を相手にするだろうか」とも述べています。

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 金錬鉄氏は、非常戒厳に先立ち、韓国が北朝鮮を挑発した点を挙げます。これは韓国軍が10月に平壌に向けてドローンを飛ばしたということなどを指すもので、非常戒厳の口実を作るための行動と解釈されています。

 まだ事実として完全に確定した訳ではありませんが、金氏は北朝鮮が一貫して「衝突を望まなかった」点に注目します。

 このため、金氏は現在は断絶している南北関係を、緊張緩和のための軍事合意を再び結ぶことから始めていこうと提言します。

 また、トランプ政権にとって韓国は、第一期と同じように弾劾局面にあるという点に言及します。

 これは本当にそうで、朴槿惠大統領は16年12月に国会で弾劾訴追案が可決され、17年3月に憲法裁判所により罷免されました。トランプ第一期政権は17年1月に発足しています。

 金氏は「トランプ就任前から首脳間の関係を結ばなければならないのに、とても残念だ」としながら、韓国は今「外交の環境そのものが崩れ落ちた状況」であると診断します。

 そしてこれを正常化する過程で「(尹錫悦氏が掲げた)価値と理念の陣営外交を脱皮し、実用的な外交をすべき」と提言します。「韓米、韓中、韓日関係すべてが重要だ」というものです。

崔鍾建さんのインタビュー記事。ハンギョレをキャプチャ。


崔鍾建さんのインタビュー記事。ハンギョレをキャプチャ。

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(2)トランプ新政権と韓国

 崔鍾建氏はまず、トランプ氏の外交上の姿勢について「とても慎重で相手に対する配慮がある」と評しています。

 また、国家関係を「両者関係」として把握する、つまり相手が米国にとって役に立つか立たないかで判断する傾向があるとも述べています。

 カナダやグリーンランドに対する態度を見る場合、前段について首肯しかねますが、崔鍾建氏は第一期トランプ政権(17年1月~21年1月)との豊富な交渉経験を持っている点は見逃せません。

‘ 中国を牽制するよう’役割が変わると噂される在韓米軍についてはまず、「在韓米軍の撤収は不可能である」としながらその理由について「米中間の戦略競争が行われているのに、中国の領土から最も近い米軍基地から撤収するというのは話にならない」としました。

 さらに「トランプ政権にとって最も至急の問題はウクライナ戦争」であるとしながら、米韓連合訓練や戦略資産の展開(戦略爆撃機の飛来など)は「トーンダウン」する可能性があると指摘しました。

 そしてこれが北朝鮮に対する「対話のシグナル」になり得るともしました。

 また、尹錫悦外交の「レガシー」である『ワシントン宣言(韓国に対する拡大抑止[核の傘]を拡大)』と『キャンプ・デービッド宣言(韓米日の軍事協力を約束)』の行く末については(それぞれの整理はハンギョレの記事を引用)、前者は費用の問題で無くなる可能性があるが、後者はトランプが望む形で、兵器展開の費用を請求する枠組みとして弱まると見立てています。いずれも「金」が関連しているということです。

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 文正仁氏はトランプ次期政権の外交は「三つの派閥間の競合と相互作用で決まる」としています。

 まずは「取引主義」で、これは「理念や価値よりも米国の国益に基づき、いかなる指導者とも外交的な取引を通じ懸案を妥結できるという視点」とします。

 次は「MAGA(Make America Great Again)」であるとします。これがトランプの核心支持勢力であるとしながら「孤立主義的な性向が強く、不必要な戦争に介入せず、海外に駐屯する米軍を減縮させようとする傾向」と位置づけます。

 最後に「ネオコン」です。この集団は米国だけが覇権国家であるべきとする「米国最高主義(American primacy)」を掲げる一方、米国的な価値を全世界に拡散すべきて、この過程で戦争も避けないとする者たちとします。

 文氏はトランプ新政権の人事を見るに「ネオコン集団は排除されたようだ」としながら、「取引主義とMAGAを指向する忠誠派がトランプ2.0内閣の主流を形成している」と結論付けます。また、中国への強硬政策はこうした派閥に関係なく共通していると指摘しています。

 文氏はさらに、トランプ新政権で国防次官(政策担当)となったエルブリッジ・コルビーに注目します。

 コルビー氏はトランプ政権の最も重要な外交の議題を「対中包囲・牽制・封鎖」としており、「中国の覇権的な浮上を防ぐことが米国の死活的な利益」と考えているというのです。

 このため「朝鮮半島の問題を副次的に見ているようだ」としながら、「駐韓米軍の任務も対北朝鮮よりも対中国の抑止にある」と見立てています。

 文氏はまさにこの点で米韓の脅威の認識にズレが生まれる可能性があるとします。韓国は北朝鮮の脅威に対応することが死活問題である一方、米国は中国の脅威がより重要だとするのです。

 さらに過去に何度かニュースレターでも言及したことがあるように、コルビー氏は韓国の独自核武装を後押しするような発言もしていると文氏は指摘しながら「これが米韓関係の変曲点をもたらす可能性もある」と述べています。

 在韓米軍の規模についても、米国の国防守権法により2万8500人という「縛り」がありますが、トランプ政権でこれがひっくり返る可能性があるともしています。「まさか米国が」という出来事が起こりうることに留意すべきとまとめています。

文正仁氏。京郷新聞をキャプチャ。


文正仁氏。京郷新聞をキャプチャ。

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 もう少しこの部分を引用します。

 文氏はトランプ新政権下で、両岸関係(中国・台湾関係)が危機に陥り、その過程で韓国に軍事的な介入や中距離弾道ミサイルやTHAAD(高高度防衛ミサイル)の配置を要求するなど「米韓同盟体制が韓国に必要以上の負担を招く時」、韓国は「新冷戦の最前線となり、NATOとロシアの間に挟まれたウクライナと似た立場になる」とまで予測します。

 文氏はさらに、このような場合には韓国は新たな安保環境を作るために「外交安保パラダイムの転換を深刻に考慮しなければならない」と提言します。

 具体的には「自主国防という土台を明確にし、北朝鮮と中国、ロシアとの関係改善を試みると同時に、東北アジア多者安保協力体制の構築を模索しなければならない」というものです。

 非常にハードルが高いものに思われますが、文氏も「可能かどうかは分からない」とします。一方で「それ自体が米国に対する交渉カードになり得る」としながら国民の支持が絶対的に重要と述べます。

 文氏は米韓関係における結論として、「『米国のいない韓半島』という最悪のシナリオを念頭に置き、創意的な代案を探求しなければならない」とまとめています。

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 金錬鉄氏は在韓米軍など米韓関係についてまず、「駐留費の問題はトランプ第一期の時に米韓が扱ったことがあるため、勝手なことはできないことをトランプ氏が知っている」という点を指摘します。

 あくまでも韓国政府が交渉に臨む戦略と態度が重要で、米国には「損ではないことを説得すべき」と説きます。

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(3)トランプ新政権と北朝鮮

 まず崔鍾建氏は、米朝対話が進んだ第一期トランプ政権と現在の環境の差に注目します。ロシアの登場、韓国の不在という二つの点で当時と今は違うとします。

 具体的に、「金正恩氏は米国とロシアのうち、ロシアを選ぶ『戦略的な決断』を下した」上に「第一期の際に促進者の役割をした韓国がいない(敵対的な二国家関係)」という理由から、米朝対話が行われるのは構造的に難しいとしました。

 これを乗り越えるためには「金正恩氏が対話に乗り出すようなインセンティブを与える必要がある」とし、米韓連合訓練の先制的中断や、19年2月のハノイ米朝会議で決裂した部分(訳注:北朝鮮の寧辺核施設の廃棄プラスアルファを軸として交渉)からの再論議を示唆するといった再論議を示唆することになると見立てています。

 また、ウクライナ戦争の停戦により北朝鮮の戦略的な価値が下がる場合、北朝鮮が米国と交渉に向かう理由が生まれるともしました。さらにトランプ陣営の人物の対話を通じ「第一期の時に成功できなかったことにかなりの悔いを持っているのは明らか」とも述べています。

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 文正仁氏の意見はどうでしょうか。

 「トランプは自信を持っているが、金正恩が簡単に対話に出てくるように思えない」とします。その理由を北朝鮮の変化に求めているようです。

 「19年2月のハノイ米朝首脳会談の決裂以降、金正恩氏は米国との関係改善を放棄したようだ」とし、金正恩氏みずからが「核廃棄を前提とする対話と交渉はしない」と言明している点も挙げています。

 そして北朝鮮を対話の場に引っ張り出すためにはやはり、「北朝鮮が断れない誘因策(インセンティブ)を米国が提示すべき」とします。

 中身については「米韓連合軍事訓練や米国の戦略武器の前線配置の中断」とします。文正仁氏は崔鍾建氏の師匠筋に当たるためか、内容が似ていますね。

 しかし文氏はさらに一歩踏み込み「非核化ではなく核軍縮」を条件に設定します。

 具体的には「(北朝鮮の)核・ミサイル活動を中断し、核関連の施設・物質・武器の減縮を条件に、米国による制裁の緩和と米朝修交(外交関係樹立)を要求する可能性もある」とします。米国が受け入れるかは懐疑敵としながらも「可能性は排除できない」とします。

 一方で、米朝関係が緊張する可能性もあるとします。

 これは北朝鮮がトランプの交渉スタイルを誤解し、交渉が始まる以前に7度目の核実験やICBM(大陸間弾道ミサイル)の発射などを行う場合、トランプは17年のような強硬政策に転換するばかりか、北朝鮮がその間、経験したことのない超強硬政策を展開する可能性があるというものです。「軍事的な衝突まであるので、北朝鮮はこれに気を付けるべきだ」と助言(?)します。

 さらに、ロシア・ウクライナ戦争が休戦となりトランプとプーチン両大統領の関係が改善される場合には、プーチンが米朝の仲介をする可能性があるとし「現在、米朝交渉が始まる唯一の通路はプーチン」と言い切ります。

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 最後に金錬鉄氏です。

 同氏はまずトランプ新政権に「忠誠派」が多い点を指摘します。これにより外交の「システム」が作動することが困難になるとしながらも、トランプと金正恩両氏が互いへの挑発や批判を自制をしていることから、両氏が親書を交換する可能性があるとします。

 その上で、米朝が交渉を始める際には「トランプ政権が北朝鮮制裁においてどれだけ融通性を発揮できるか」が変数になるとしています。米国が中国に対する経済的な制裁を強めることが予想される中、北朝鮮制裁において融通性を発揮するのは簡単でない」とします。

 このように金氏は米朝の交渉が始まっても合意は難しいと一貫した見方を示します。だからこそ「南北米中の4者会談を進めるべき」と提案します。

金錬鉄氏。ハンギョレをキャプチャ。


金錬鉄氏。ハンギョレをキャプチャ。

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(4)南北関係

 最後は南北関係です。これが最後であるのが、現在の朝鮮半島を物語っていますね。もっとも、私がこう配置したのですが、お読みいただくと分かるように、何らビジョンがありません。

 崔鍾建氏はまず、「韓国で新政府が発足する場合」という前提を踏まえた上で、「南北和解よりも接境地域(軍事境界線地域)で軍事的緊張を緩めるメッセージをまず出すべき」と提案します。さらに『9.19南北軍事合意』を復活させる提案などを含め、「統一よりもまず平和を語るべき」としました。

 文正仁氏は米朝交渉がうまくいったとしても、南北関係が改善するかは不確かだとします。南北間は現在断絶しており、北朝鮮に通じる唯一のチャンネルはモスクワであると指摘します。

 「北朝鮮は韓国が二つの国家論を認めない場合、対話しないだろう。韓国も南北関係を統一を指向する特殊関係ではなく、二つの国家関係に再設定する方案を考えるべきだ」とさらに踏み込んだ提案をしています。

 金錬鉄氏は北朝鮮が「二つの(敵対的)国家論」を掲げる中、南北関係の回復には北朝鮮核問題の進展や北朝鮮への経済制裁の緩和など簡単ではない条件があるとします。

 それでも南北間は「『敵対的な二国家』から『敵対的』という言葉を取る方向に進めば、関係が変わる」としました。

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●あとがきに代えて

 見てきたように、非常戒厳から弾劾という大きな混乱の中にある韓国の外交的な立場は、大海に浮かぶ木の葉の船のような形です。このまま半年近く停滞が続く場合、その損失を取り戻すのに長い時間がかかるでしょう。尹錫悦氏の置き土産です。

 つい先日、韓国のある高官から「北京で米朝交渉が始まった」と聞きました。本当なのか確認は取れていませんが、事情に通じた人物であるため聞き流す訳にもいきません。「世界は韓国を待ってくれない」ことの表れと受け止めています。

 韓国外交の2025年は、遅れてのスタートになります。今年もたくさんの出来事が起きると思います。昨年から何度かお伝えしたように、3月を目処にニュースレターの大幅テコ入れ(コリア・フォーカスへの転身)をいたします。今年もよろしくお願いいたします。(徐台教)

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