サポートメンバーの皆さん、アンニョンハセヨ!韓国で4月10日に総選挙があったことで色々な仕事が重なり、発行がやや変則的になってしまいました。
今週からふたたび、水曜日は南北関係・朝鮮半島情勢号、金曜日は韓国政治・社会プラスジャーナル号という形でお送りいたします。曜日は例によって少しずれるかもしれませんが、週2回は欠かしませんのでご安心ください。
二週間ぶりとなるので、ニュースが溜まっています。まず、北朝鮮内部から見ていきます。
◎北朝鮮が核兵器運用訓練を実施
もっとも注目すべき動きとして、22日のミサイル発射がありました。「またミサイルか」と思うかもしれませんが、その内容は驚くべき方向に進んでいます。
この日午後3時頃、平壌一帯から東側に向けて発射されたミサイルは、約352キロを飛んで目的地に命中したと朝鮮中央通信が翌23日の記事で伝えました。「超大型放射砲」と呼ばれる、600ミリ多連装ロケット砲です。在韓米軍などからはKN-25とも呼ばれます。
22日午後、発射されたミサイル。朝鮮中央通信より。
北朝鮮当局は今回の発射を訓練とし、具体的にこれを「超大型放射砲兵部隊を国家核武器総合管理体系『核トリガー』システムの中で運用する訓練」と位置づけました。
具体的には「国家最大の核危機事態警報である『火山警報』発令時に、部隊を核反撃態勢に移行する手続きと工程に熟達されるための実働訓練、核反撃指揮体系の稼働演習、核反撃任務が与えられた分隊が任務遂行の工程と秩序に熟練し、核模擬戦闘部(弾頭)を搭載した超大型放射砲弾を射撃する順序で行われた」とのことです。
何のことやら、ですが詳細は後述します。
訓練を見守る金正恩氏。朝鮮中央通信より。
朝鮮中央通信によると、金正恩氏はこの日、一連の訓練を見守り「大満足を表した」そうです。さらに「戦術核攻撃の運用空間を拡張し、多重化を実現したことで、党中央の核武力建設構想が正確に実現したと満足げに評価した」としました。
それでは一体、今回の訓練をどう評価すればよいのでしょうか。韓国の国策シンクタンク『統一研究院』がさっそく23日にレポートを出しています。
要点は三つです。
一つ目はまず、今回の訓練が『核トリガー』システムを超大型放射砲に適用したはじめての運用訓練であり、同システム下の訓練としては23年3月以降、二度目のものである点です。
昨年には「新型戦術誘導武器(KN-23、北朝鮮版イスカンデルミサイル)」に適用しています。
今回の「超大型放射砲(KN-25)」は、核弾頭を搭載可能な、飛行場を破壊するためのミサイルです。そのターゲットとして、米韓が合同で使う群山(クンサン)空軍基地が挙げられています。
二種類のミサイルが核運用システム組み込まれたことが、先の金正恩氏の「多重化」という表現につながっています。
つまり、北朝鮮の核兵器を総合管理する『核トリガー』システムが実践の上で進化しているということです。
ミサイル発射場をのしのしと歩く金正恩氏。朝鮮中央通信より。
二つ目は、この『核トリガー』システムの内容が明らかになりつつある点です。
レポートでは同システムはいくつかの段階に分かれる「核攻撃警報システム」と「核反撃システム」に分かれマニュアル化されていると分析しています。
そしてこれを米国の『警報即時発射(Launch on warning:LOW)』システムの一種と見られるとしています。
今回の訓練では、(1)最大級の警報である「火山警報」システムの仮想発令→(2)核兵器が配備された部隊が核反撃態勢に突入→(3)核反撃のための指揮システムの稼働→(4)対応武器の決定、核反撃任務部隊の任務突入→(5)核弾頭搭載ミサイル(超大型放射砲)の射撃順で行われました。これが米国のシステムと似ているということです。
三つ目として、レポートでは核による迅速な反撃が可能なシステムであることを意図的に誇示し、米国に向けた最少の抑止力を確保していることを見せつけるためのものと位置づける一方で、その弱点も指摘しています。
米国のシステムを真似るためにはロシアのような核戦力上の均衡が必要ですが、北朝鮮にはそれが無いという点。そして北朝鮮の貧弱な「早期警報レーダー能力」です。
米国による核攻撃に対応するためには探知能力が欠かせません。しかしとてつもない費用がかかるため、北朝鮮は現実的にこれを備えることができないというものです。
そしてこんな北朝鮮の不安定さは「誤判断と誤認を呼ぶ可能性が高い」ため、逆に米国はより強力な先制攻撃を行う結果をもたらすというものです。
ここまで来ると、おいおいそんな議論になってしまうのかと思わざるを得ませんが、現実的にはこんな形で対策を立てていくのでしょう。
現実の可能性とは別に、北朝鮮がこうして着々と核の運用に関する訓練を積み重ねている動きについては恐ろしいものを感じます。
満足そうな金正恩氏。朝鮮中央通信より。
◎国内での「宣伝扇動」強化を注文
別に興味深い動きもありました。韓国メディアでもいくつか記事になっていたのですが、北朝鮮で4月20日から23日まで「朝鮮労働党第2次宣伝部門職員講習会」が開催されていました。
宣伝部門というのは、党の思想や方針を人民班(住民組織)の集会などを通じ、住民全員に説明する役割を担うものです。
24日の国営・朝鮮中央通信の記事を見ると、講習会は「党宣伝部門職員たちの思想精神と活動方式を一新し、党思想事業において明確で実際的な改進をもたらすための対策を立てること」を目的に開催されたとしています。他に「宣伝扇動事業にはっきりとした改進が見られない」ともあり、党の宣伝が住民にうまく届いていないという問題意識が読み取れます。
目立つのは「思想戦」という言葉です。住民への思想注入が戦いであるという認識です。
そのやり方は「敬愛する総秘書同志(金正恩)が全党と全社会の思想的一色化を新たな高い段階に高め、わが革命の主体的な力をより強化することを党の思想事業の基本任務、総的な方向に定め」という点から分かるように、全体主義そのものです。
肝心の中身はどうなのでしょうか。記事では一義的にこれを「人民大衆第一主義」としています。
文字通り住民を最優先にするというもので、これは金正恩氏が父・金正日氏の跡を継いで1年あまり経った13年1月に使い始め、21年1月に行われた直近の党大会では「労働党は人民大衆第一主義政治を社会主義の基本政治方式とする」と規定されています。
講習会の様子。朝鮮中央通信より。
その核心的な精神は「以民為天」とも称され、北朝鮮の憲法で金日成・金正日と結びつけられています。韓国の統一部ではこれを「金正恩体制が活用する核心的な正当化の機制である」と評価しています。つまり、住民に尽くしてきた伝統を受け継いだということです。
ならば、一連の宣伝事業がうまくいかないのは、実際に住民第一主義が行き届いていないからでしょう。
朝鮮労働党はそれを無理矢理に抑えつけようとしているようですが、それが簡単ではない事を、北朝鮮当局は既に知っていることでしょう。激しい統制に結びつくというのは当然の帰結です。
そうとはいえ、北朝鮮の内部で何が起きているのか、特に住民の生活はどうなっているのかという部分については、情報が極度に不足しています。
そんな中で、日本のアジアプレスの北朝鮮取材チームが独自取材を続けており、取材が届く範囲で確度の高い情報を記事として定期的に発表しています。この「知っていることだけを書く」というのがとても素晴らしいと思います。
4月にも5回にわたり、同チームを率いる石丸次郎氏が「コロナ鎖国の4年間に北朝鮮で何が起こっていたか」という連載記事を書かれていました。
金正恩氏が言う「人民大衆第一主義」がいかに欺瞞に満ちたものであるのかが、一連の記事を読むだけで十分に分かります。
米国務省は22日(現地時間)に『2023国家別人権報告書』を発刊しましたが、北朝鮮に対しては「該当期間に意味のある人権状況の改善は全く発見されなかった」としています。
これが単なる情報不足から来る判断なのか、実際にそうなのかを簡単に判別することは難しいですが、後者であろうことが、石丸氏の記事からうかがえます。
リンクを貼り付けておくので、ぜひ読んでみてください。記事は5本あります。
◎先代の否定…金正恩氏の「賭け」は成功するか
金正恩氏が宣伝扇動に力を入れる理由の一つに「路線転換」があるのは明らかです。
何度もニュースレターで言及してきたように、金正恩氏は昨年12月の朝鮮労働党中央委員会第8次第9回全員会議拡大会議(日本メディアでは中央委員会総会とも)で「北南関係はこれ以上は同族関係・同質関係ではない、敵対的な二つの国家関係、戦争中にある二つの交戦国関係として完全に固着しました」と発言し、その後も「統一」や「民族」を否定する韓国との「断絶路線」を続けています。
これは韓国の専門家からは、父・金正日と祖父・金日成を否定するものと見られています。例えば、北朝鮮の憲法序文にはこうあります。
「偉大な金日成同志と金正日同志は民族の太陽であり祖国統一の救いの星であられる。金日成同志と金正日同志は国の統一を民族至上の課業として押しだし、その実現のために労苦と心血をすべて注いだ」
金正恩氏がここから脱却しようとしている背景には、北朝鮮の体制を骨抜きにしかねない韓国の影響力を振り切るためと見られていますが、それがうまくいくかどうかはまだ分かりません。
昨年12月に会議で発言する金正恩氏。朝鮮中央通信より。
一方で、この試みは、過去の北朝鮮の伝統を丸ごと否定することにつながりかねません、
先の4月15日は金日成氏の誕生日で、北朝鮮では「太陽節」と呼ばれる最も重要な記念日ですが、徐々にこの言葉が使われなくなってきていると、韓国の統一部が見解を発表しました。
このように「統一と民族の否定」と「金日成・金正日からの独り立ち」はコインの裏表、セットとなっています。
今年4月15日、金正恩氏は2年連続で、金日成・金正日両氏の遺体が安置されている平壌市内の錦繍山(クムスサン)太陽宮殿に参拝しませんでした。
これを一つの信号と捉えるべきかどうか判断は付きかねますが、一般的に考えて、これまでと全く違う方向への急激な転換は、短期的には安定よりも混乱をもたらす可能性が高いのではないでしょうか。これを抑えつけるために宣伝扇動に力を入れていると見るのが妥当です。
◎中国、そして「グローバル・サウス」との外交
北朝鮮の外交にも目を向けてみましょう。
前号までにお伝えしたように、朝鮮労働党の金成男(キム・ソンナム)国際部長が3月に中国、ベトナム、ラオスを訪問してきましたが、4月になってからは11日から13日にかけて、中国の趙楽際(チャオローチー)全人代常務委員長が訪朝しました。また、23日からは対外経済相率いる代表団がイランを訪れています。
一連の動きに関し、韓国の情報機関『国家情報院』傘下のシンクタンク「国家安保戦略研究院」から2本のレポートが出ているので、これを参考に見ていきましょう。
まず「中国共産党ナンバー3」と各メディアが報じた趙氏の訪朝です。2019年6月の習近平主席の訪朝以後、最高位の人士となります。
訪朝の名目は修交75周年を迎え両国が設定した「朝中友好年」開幕式への参加でした。
12日に平壌で行われた「朝中友好年」開幕式。画面には「社会主義一筋の道で強く握った手」と書かれています。朝鮮中央通信より。
しかしレポートではその目的について、▲中国は依然として北朝鮮を重視しているというアピール、▲両国間で既に行われている協力やシナジーを加速化させる、▲朝露の密着を牽制するためと、▲中国側が最高指導者のメッセージを重きをもって伝えるためと、4つの側面から分析しています。
この中で3つ目の「ロシアと北朝鮮の密着を牽制する」という内容は注目に値します。引用してみます。
「中国は域内で行われている日米韓の密着による陣営対立を憂慮しながらも、対応する次元としては中露朝の協力を考慮していない。米国と関係改善を通じ協力の雰囲気を造成するのが中国の最も大きな戦略的目標であるからだ。したがって中国は中露朝の三者協力よりも、中国とロシア、中国と北韓という両者協力(二国間協力)を通じ、域内の安定を追求することが戦略的に有利であると判断している」
つまり、中国は巷で「新冷戦構造」と言われるような、日米韓vs中露朝の構図を望んでいないということです。
これはいみじくも、日本の毎日新聞の4月19日付け記事「日中韓協力、構築を 首脳会談前に、南京大研究者『露朝とのブロック化 望まず』」に登場する中国・南京大教授の「中国としては、このような分断(注:日米韓vs中露朝)には、まったく同意できない。中国は、ロシアや北朝鮮とブロック化するつもりはない。冷戦は終わったのであり、そこに再び戻るべきではないからだ」という言葉と相通ずるものがあり、説得力があります。
毎日新聞の該当記事。同サイトをキャプチャ。
なお『統一研究院』も趙楽際訪朝を扱った16日のレポートで同様の視点を伝えており、韓国ではこうした見方がコンセンサスになりつつあるようです。
「国家安保戦略研究院」のレポートではまた、ブロック化に反対するというメッセージを伝えるために、敢えて趙氏が訪朝したのではないかとも見ています。
金正恩氏は中国指導部の意見と異なり「新冷戦構造」を最大限に利用することを考えているとされることから、「北朝鮮を管理する目的」があると読み解いています。
次のレポートまで見て、北朝鮮の話をいったん離れることにしましょう。
タイトルは『北韓のグローバル・サウスへの接近にある背景と展望』というもので、「国家安保戦略研究院」から4月19日に出たものです。
グローバル・サウスとは「南半球もしくは北半球の低緯度地域に位置する120あまりの開発途上国を指す概念」(レポートより)です。具体的には、インドネシア、トルコ、インド、ブラジル、中国、南アフリカ、イラン、キューバなどを指します。
北朝鮮は今年に入り、1月にはウガンダで開催された非同盟運動首脳会議および開発途上国開発会議、2月にはケニアのUNEP(国連環境計画)総会、ブラジルの世界職業連盟理事会、3月にはモンゴル、中国、ベトナム、ラオス訪問、4月にはセネガルの世界農業および食糧勤労者同盟会議に参加するなどグローバル・サウスとの交流を続けています。
この背景についてレポートでは、▲国際的な孤立を脱皮するため、▲経済制裁を逃れるための突破口を模索、▲グローバル・サウスに対するロシア・中国の政策に便乗する意図、などがあるとしています。
レポートではしかし、グローバル・サウスは様々な利害関係を持つ国家の集まりであり一枚岩ではないことや、これらの国々における韓国の影響力の強さ、そして他者外交舞台での北朝鮮の力の弱さなどから「短期間で成果を挙げるのは難しい」と結論づけています。
いずれにせよ、一連の動きから理解できるのは金正恩氏もまた、一時も休まずに生き残りのために動いているということです。韓国がその必死さにどこまで付いていけるのでしょうか。
◎市民の無関心をよそに、韓国では米韓訓練続く
私の感想ですが、韓国社会は正直、北朝鮮のニュースに関心がまったくありません。テレビニュースも惰性でやっている感じです。何よりも、韓国政治の動きがダイナミックすぎる上に、インフレで生活も苦しいためどうしてもそちらに関心がいってしまいます。
ですがこんな世間の無関心をよそに、韓国政府は米国と共に、次々に軍事訓練を行っています。
4月12日から26日にかけては米韓の最新鋭空軍機100機以上が参加する『2024連合編隊軍総合訓練(KTF)』を行う傍ら、4月18日には米韓の特殊戦司令部が合同で「連合空中浸透訓練」を行いました。
後者は「標的の除去」が目的とする訓練ですが、標的は金正恩氏を含む北朝鮮司令部であることは明らかです。
18日の「連合空中浸透訓練」の様子。韓国国防部提供。
先に挙げた北朝鮮の超大型放射砲訓練は、これに対抗するものであることを、朝鮮中央通信も言及しています。
◎選挙敗北も変わらぬ尹政権
先の4月10日の総選挙で与党が大敗しましたが、その一因に南北関係の緊張の高まりを牽制する「平和への願い」があるとの分析も聞かれました。私もこれに同調しますが、やはり外交や安全保障は政府の独壇場で、野党が入り込む余地はほとんどありません。
尹政権の北朝鮮への対立姿勢も変わっていません。
冒頭で触れた22日の北朝鮮の「超大型放射砲」発射訓練についても、飛距離350キロと韓国の基地が仮想目標になっていたこともあり強く反発しました。
韓国国防部は翌23日に「万一、北韓が核使用を企図する場合、米韓同盟の即刻的・圧倒的・決定的な対応に直面することになり、北韓政権は終末を迎えるだろう」と明かしました。
韓国もまた、北朝鮮と同じように相手が「核を使う」と察知する場合に先制攻撃を行うようになっています。この能力を北朝鮮よりも高めて行くと宣言すると共に、「韓米日の3者強力を含む国際的な安保協力もより強まる」と主張しました。
前出のように、中国がブロック対立を嫌っているならば、韓国ができる外交努力も少しはありそうなものですが、このまま3年間変わらないのでしょうか。双方とも先に手は出したくないでしょうが、いずれ何らかのミスや誤解が衝突が起きてしまうのではないかと思います。
今月17日、岸田首相と電話会談を行う尹錫悦大統領。日本側の提案で行われたとされ、両国の関係を深化させることで意見が一致したと各紙が伝えた。韓国大統領室提供。
◎湧き出る「北朝鮮崩壊論」
その一端を図るような社説が22日、韓国政府と最も近いとされる保守紙『朝鮮日報』に載りました。
タイトルは「‘金日成神’を消す金正恩、末期的な異常症状」というものです。これは先に述べた様に、北朝鮮が今年の4月15日の太陽節を迎え、その大部分を「4.15」もしくは「4月の名節」と呼称したことを取り上げたものです。
金正恩氏は祖父・金日成が占めていた「神」のポジションを奪い取ろうとしているしながら、その証拠として、金日成に使われていた「太陽」や「オボイ(父と母を合わせた存在の意)」といった呼称を同時に自分のものに変えつつあることを挙げています。
しかしこれは金正恩みずからが「世襲」という自身の正統性の基盤を揺るがす可能性があるものとし、「前近代的な金氏王朝で起きている末期的な異常症状」と断じています。
保守紙・保守政権のこんな姿勢には、「統一は明らかに訪れるが、泥棒のように夜中に来る可能性があるため、常に準備しなければならない」(11年)と言った過去の李明博(イ・ミョンバク)大統領、「ひと言で統一は丸儲け」(14年)と言った朴槿惠(パク・クネ)大統領を思い出さずにはいられません。
そうです。北朝鮮崩壊論です。
北朝鮮がすぐにでも崩壊すると思い込み、崩壊させることに焦点を合わせ政策を立てていくことで、南北関係は行き詰まりました。
尹政権もまたこの轍を踏んでいるのではないかと思わざるを得ないのです。
そこに、米シンクタンク『CSIS(戦略国際問題研究所)』所属のビクター・チャ(元米NSCアジア部長)といった大物が「統一は突然、軟着陸でない形でやってくる」と焚きつけています。
同氏は統一が北朝鮮の世襲政権の終末もしくは、北朝鮮住民に対する中国の国境開放のうちどちらかの方式で起こると、先週明かしています。
ビクター・チャさんの発言を報じる19日付けの聯合ニュース記事。同サイトをキャプチャ。
他方、そう簡単に過去の崩壊論の繰り返しと割り切れない部分もあります。
金正恩氏が韓国との関係を切り捨てるという一種の冒険に出ていることが北朝鮮国内でどう作用するかが、新たな判断材料として加わりました。
さらに、コロナでの国境封鎖により国内の経済事情が悪化し統制が強まったことなどまでを加味する場合、不透明感は増しています。
ですが、中国もロシアも健在です。おいそれと崩壊するとか考えられず、このままでは今後3年、南北関係が悪化の一途をたどる可能性が高いです。
すでに4月中旬から、韓国内の市民団体による北朝鮮へのビラ撒布は始まっています。何か衝突が起きないか、気が気でありません。
韓国社会の関心が低下している中、緊張は今もくすぶっていると見るべきでしょう。
◎お知らせ
私が2週間に一度、YouTubeチャンネル『デモクラシータイムス』内で配信している『徐台教の韓国通信』が更新されました。
韓国総選挙やその後の尹錫悦政権の危機を振り返ると同時に、高校生250人を含む304人が無くなったセウォル号沈没事件から10年を迎えた韓国社会の様子を深くお伝えしています。
ニュースレターと合わせてぜひご覧ください。
それでは今号はここまでです。ありがとうございます。また次号で!(徐台教)