ニュースレター号

韓国政治に「保守ライバル対決」勃発、「犬食」全面禁止へ、市民のメディア利用の実態、社会派ドキュメンタリー紹介など全13トピック|第17号

(11月21日)サポートメンバーの皆さん、アンニョンハセヨ。

ニュースレター第17号をお届けいたします。今号は韓国社会・韓国政治をテーマにお届けします。前回「これからは内容を少し短くする」と書いたのですが、長くなってしまいました。あとがきでもう一度この点について整理してみますね。

 今号の目次は以下の通りです。新機軸として、韓国の良いドキュメンタリーを伝える連載と、過去に扱った内容のその後を伝える「その後のニュース」コーナーを作りました。

  • 韓国社会(1):韓国市民のメディア・コンテンツ・ソーシャルネットワークサービス(SNS)18種類の利用率

  • [新連載] 韓国ドキュメンタリー:『熟練工の消滅、製造業がたおれる』(KBS『追跡60分』11月10日放映)

  • 韓国政治(1):80%が「国会が役割を果たしていない」、平均点は42点

  • 韓国政治(2):総選挙の話題は保守派が独占、「ライバル」李俊錫と韓東勲が注目の的に

  • ショートニュース:(1)役所の電算網が止まる、(2)「犬食」全面禁止の立法へ、(3)尹錫悦大統領の義母が文書偽造で懲役1年確定

  • その後のニュース:(1)「政府の介入?」公営放送KBSは労組が新社長を起訴、(2)「導入無期限延期」紙ストローは徐々にプラスチックへ、(3)医大定員増員は大学側の要望でそろう、(4)株の「空売り禁止」に尹大統領がはじめて言及、(5)「短髪だからフェミニスト」コンビニ女性暴行事件の犯人が起訴、(6)「金浦市のソウル市への編入」は段階的に行うことに

  • あとがきに代えて:ご意見お聞かせください

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◎韓国社会(1):韓国市民のメディア・コンテンツ・ソーシャルネットワークサービス(SNS)18種類の利用率

 韓国に住む人は普段どんな文化的な活動(?)を行っているのでしょうか。

 韓国の信頼できる世論調査会社『韓国ギャラップ』が今年2月から7月にかけて済州島を除く全国の満13歳以上5202人を対象に行った調査結果が、今月16日に発表されました。私も非常に興味があるので、整理しながら見ていくことにします。

 まず、メディア・コンテンツサービスの利用からです。「過去一年間に利用したことがあるか」という問いに「ある」と答えた割合です。カッコ内は前年の数値です。

 ▲動画サイトの有料利用 57%(44%) ▲音源サイトの有料利用 33%(29%) ▲ラジオの定期聴取 37%(32%) ▲電子書籍の有料購読/購入 5%(4%) ▲オーディオブックの購読/購入 3%(2%) ▲ポッドキャスト聴取 10%(12%) ▲紙の本の購読/購入 8%(8%) ▲紙の新聞の有料購読 5%(4%) ▲紙の雑誌の有料購読 2%(1%)

 『韓国ギャラップ』のレポートによると、「動画サイトの有料利用率」が20代30代で80%を超えるとし、10代(58%→73%)、40代(51%→70%)、50代(27%→51%)の年代で昨年から大幅な増加となりました。

 また、ラジオの定期聴取は40代50代の男性や経済活動者が多く、20代30代が主軸のポッドキャストよりも底辺が広いとしました。

 同社は一方で、テキストコンテンツは「不振を免れない」と評価しました。「過去一年に一冊でも本を買った人」は19年16%、20年13%、21年7%、22年8%となっています。

 同社の過去の調査によると1993年には33%、インターネットが普及した2000年には26%、「スマホ時代」の今は5%未満と見ているそうです。また、電子書籍が紙の本の代案には今のところなっていないとしています。

 紙の新聞については1993年57%、2000年53%だったものがインターネットの普及と共に急減したとしています。19年12%、20年9%、21年5%、22年4%でした。50代以上の男性が主な読者層だとのことです。

メディア・コンテンツサービスの利用を示す表。左上から右に動画・音源・ラジオ、中段左から電子書籍・オーディオブック・ポッドキャスト、下段左から紙の本・紙の新聞・紙の雑誌。韓国ギャラップより。


メディア・コンテンツサービスの利用を示す表。左上から右に動画・音源・ラジオ、中段左から電子書籍・オーディオブック・ポッドキャスト、下段左から紙の本・紙の新聞・紙の雑誌。韓国ギャラップより。

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 次はメッセンジャーを含むSNSの利用率です。同様に「過去一年以内に使ったことがある」人の割合です。カッコ内は昨年の数値です。

 ▲モバイルメッセンジャー(カカオトーク、LINEなど) 93%(93%) ▲NAVERバンド(オンラインコミュニティ) 47%(43%) ▲カカオストーリー(カカオ社の日記帳) 37%(33%) ▲YouTube 93%(91%) ▲Facebook 31%(32%) ▲インスタグラム 39%(36%) ▲ツイッター(現X) 15%(15%) ▲TikTok 19%(14%) ▲ChatGPT 7%

 同社の分析を見ていきます。「国民アプリ」と呼ばれ公共機関も依存する「カカオトーク」をはじめとするモバイルメッセンジャーの利用率は10代から50代まで90%台中盤で、60台以上では82%とのことです。

 60台の残る18%が「デジタルコミュニケーション中心の社会から疎外されている階層」であると見立てています。

 同社はまた、スマートフォンの利用率について、過去の調査を元に明かしています。

 12年には53%だったものが、13年に70%、14年80%、16年11月に90%、そして23年には97%に達しているそうです。60代以下は100%に肉薄し、70代以上は85%(男性91%、女性80%)とのことです。

 また、SNSについては年代層による偏重があるとしました。ツイッターは10代から30代、TikTokは10代が主軸だったものから20代30代へと拡張しているそうです。

 最新のAIサービスであるChatGPTの利用率は13歳~18歳で12%、19歳~29歳で16%、30代で12%と他の年代層より高い結果となりました。

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◎[新連載] 韓国ドキュメンタリー:『熟練工の消滅、製造業がたおれる』(KBS『追跡60分』11月10日放映)

 今号から新機軸です。韓国では日本と同じように、まだいくつかの「ドキュメンタリー枠」がギリギリで存在していますが、その中から韓国社会を理解するために役立つ内容を整理してお伝えします。

 まず気になるのは著作権の問題です。韓国の弁護士に有料で相談してみたところ、丸々の引用でなければOKとのことでした。節度を守った引用をしながら進めていきます。

同番組のサムネイルの一つ。KBSYouTubeチャンネルをキャプチャ。


同番組のサムネイルの一つ。KBSYouTubeチャンネルをキャプチャ。

 第一弾は11月10日にKBS『追跡60分』で放映された『熟練工の消滅、製造業がたおれる』です。

 まずは番組の背景を説明します。これは私が調べたものです。

 23年上半期の統計によると、韓国の造船受注量は中国に次ぐ世界2位となっています。

 今年7月のKBSニュースによると、受注量の総トン数を表す数値CGTで比較する場合、同期間に中国は1043万CGT、韓国は516万CGTで、世界市場の29%を占めました。

 一見、中国との差は大きいですが同記事では「統計上の差よりも、その質に注目すべき」としています。韓国は一隻あたりの船のトン数が中国の倍近く(22年には約5万5千トン)になるとし、製造する船の質で中国を上回っているというのです。

 また、23年9月現在の受注量を見る場合、世界1位から4位までを韓国の造船会社が独占している点も特筆すべき点です。

 韓国造船業の強みは「親環境」つまり温室ガスの排出量が少ない船を生産する技術の高さにあると前掲の記事では説明しています。

 下記の統計庁の表にもあるように、造船業は毎年100億ドル以上の黒字をもたらす韓国の主要産業の一つとなっています。

見づらいですが、韓国の船舶輸出入の統計です。上から「貿易収支・輸出・輸入」となっています。単位は億ドルです。統計庁サイトより引用。


見づらいですが、韓国の船舶輸出入の統計です。上から「貿易収支・輸出・輸入」となっています。単位は億ドルです。統計庁サイトより引用。

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 番組は韓国南東部の慶尚南道(キョンサンナムド)巨済(コジェ)市から始まります。ここには受注量世界一の造船会社、サムスン重工業巨済造船所と同3位の韓火(ハンファ)オーシャン巨済造船所があります。

 交差点では造船所ではたらく労働者たちのオートバイが列をなしています。しかし表情はそう明るくありません。「好況で受注が増えたが納期を合わせられない」というのです。「見習いが入ってこない上に熟練工は50歳を超えている」という声もあります。

 番組では造船に関わる各地の工場を訪ねていきます。

 船体の部品を作る慶尚南道咸安(ハマン)郡のある工場主は「好況であるが、人手不足が深刻だ」だとし、その理由について新たに造船技術を学ぶ人がいない上に、これまで一緒だった労働者はみな引退してしまったからと説明します。過去に300人いた労働者が20人しかいないそうです。

 鉄板を加工する韓国南西部・全羅南道(チョルラナムド)の霊岩(ヨンアム)郡の工場では、最低でも7年のキャリアを持つ熟練工に任せるべき仕事があるものの、過去に比べ半分しか熟練工が残っていないといいます。

 キーワードは熟練工です。「造船は手作業が多く、機械化が難しい」という背景があります。全羅南道で足りない熟練工は2000人に及ぶそうです。

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 番組ではまた、韓国の造船業において1万4000人の人手が足りないとも述べています。こんな人手不足を埋めているのが外国人です。

 しかし、色々と苦労も多いようです。熟練工ではないため、2人でできる仕事を5人でやったり、韓国語ができない者も多く意思疎通には翻訳機が必要だと言うのです。

「このままでは韓国人が出て行き、外国人が占領するようになる」という熟練工の言葉が出てきますが、これは外国人への嫌悪ではなく、次世代が育たないことへの不安や不満の裏返しと言えそうです。

 そして何よりも熟練工が少なくなることで「船を作る力量が落ちている」との指摘が別の熟練工からありました。

 ここで日本の造船業の話が出てきます。

 三菱重工業が08年に建造した大型コンテナ運搬船「MOL COMFORT」(8万6692トン)が、13年6月にインド洋沖を航行中、船体に亀裂が入り真っ二つに割れ沈没した事故を取り上げたのです。

 これを「技術力を失った日本の象徴」としながら、背景には1980年代のリストラがあると指摘します。その上で、「日本のようになってはならない。人材を維持できる政策が必要」という専門家のコメントを紹介しました。

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 韓国の熟練工の減少の背景にもやはりリストラがあるようです。韓国で造船業は10年代に冬の時代を迎え、15年に造船業だけで8兆ウォンの赤字が出たとしました。10年代半ばに大リストラが行われ、最盛期20万人の造船業従事者は、昨年基準で9万人まで減ったそうです。

 しかし熟練工の数が減る背景には別に大きな事情がありました。それは賃金です。キャリア14年の溶接熟練工は「70度に及ぶ鉄板を加工するつらい仕事」をして得られる月給が200万ウォン(約22万円)と明かし、最低賃金レベルと述べます。

 別のキャリア16年、48歳の熟練工も造船所の仕事が終わった後にタイル施工技術を学んでいます。「造船所の仕事では食べていけない。賃金はそのままで好況を感じられない」と明かし、昨年の収入が3200万ウォン(約350万円)だったとします。

 これも私が別途調べたものですが、韓国統計庁によると21年の統計で、45~49歳男性の平均所得は488万ウォン(約53万円)、中位所得は406万ウォン(約44万円)となります。この熟練工の年収を12で割った場合の266万ウォン(約29万円)との差は小さくありません。

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 場面は変わって京畿道(キョンギド)平澤(ピョンテク)市。

 建設中のサムスン電子の半導体工場が移し出されます。ここには毎日6万人が建設に従事しており、この中で「7~8割が造船所から来た人たち」とされます。

 安全で高い賃金が背景にあります。一方、造船所出身の男性労働者は「造船所からまた声がかかったが、日当14万ウォン(約1万5500円)で7年前と同じ金額だった」と明かします。

 番組では建設現場での熟練工不足にも触れています。

 韓国の世帯の4割以上はアパート(マンションのことをこう呼びます)に住んでいますが、このアパートの危険性が増しているといいます。

 造船所と同じように外国人労働者や増え、意思疎通ができない中で施工過程でのミスが生まれています。

 しかし真の問題は韓国の建設業界の下請け制度にあると指摘します。

 21年6月に光州(クァンジュ)特別市で起きた撤去ビルの崩落事故で、バスが下敷きとなり9人が亡くなりましたが、この時には「坪あたり28万ウォン(約3万1000円)の工事が孫請けで4万ウォン(約4400円)になっていたそうです。

 こうなると人件費にしわ寄せがいき、熟練工はますます現場に入れなくなります。建設業の人手不足は年間16万人。低賃金から外国人が仕事するしかなく、熟練工が育たない悪循環が続きます。

韓国の孫請けの構造。同番組をキャプチャ。


韓国の孫請けの構造。同番組をキャプチャ。

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 その後、番組では慶尚南道晋州(チンジュ)、ソウル市の文来(ムンレ)洞といった産業団地を訪ね、同じような熟練工不足と後継者不足の問題を浮き彫りにします。

 韓国には「根っこ産業」という言葉があります。法律では「鋳造・金型・塑性加工・溶接・表面処理・熱処理など製造業の全般で活用される工程技術」とされますが、韓国ではこれが今まさに衰退しているのです。従事者の数は減少の一途をたどっています。

 番組の最後には、韓国の地方都市ではたらく自身の姿をリアルに描き高い評価を得た『鉄飯日誌』(22年8月発売)の著者チョン・ヒョヌ氏が登場し「きちんとした待遇をすれば人は来る」と重いひと言を放ちます。問題の核心はここにあります。

 このように『熟練工の消滅、製造業がたおれる』からは韓国の製造業が崖っぷちに立たされていることが分かります。

 本ドキュメンタリーはKBSの公式YouTubeチャンネルで公開されており、十日あまりで100万人以上が視聴しました。

 YouTubeで共感を多く集めるコメントには「熟練工を最低賃金で搾取する企業が問題」、「熟練工を犬や豚のように扱うのに、若者が集まるはずはない」、「あまりにもひどい」といったものがありました。同感です。

 番組はこちらのリンク(YouTube)から無料で見られます。

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◎韓国政治(1):80%が「国会が役割を果たしていない」、評価平均は42点

 ここからは韓国政治の話です。報道では来年4月の総選挙の話の比重がどんどん増していますが、一方で国会への不信が極み達していることが分かる世論調査がありました。

 現行の国会は20年4月の選挙で当選した議員によって構成されています。

 『韓国ギャラップ』(調査期間10月24~26日)が市民に「国会がこれまで国会の役割を良く果たしていると思いますか、果たしていないと思いますか」と聞いた調査によると「良く果たしている」は13%、「果たしていない」が80%でした。

 また、100点満点で何点かを聞いたところ50~59点が21%、40~49点が15%、60~69点と30~39点がそれぞれ12%でした。平均は42点でした。

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◎韓国政治(2):総選挙の話題は保守が独占、「ライバル」李俊錫と韓東勲が注目の的に

 ニュースレター第15号で、その日の政治記事のうち、どの政治家の記事の量が全体に占める割合を教えてくれるサイト『ポリスコア』を紹介しました。

 2人までしか同時に表示できないため、先の大統領選を闘った尹錫悦(62歳)、李在明(イ・ジェミョン、最大野党・共に民主党代表、58歳)両氏のものと、飛ぶ鳥を落とす勢いの李俊錫(イ・ジュンソク、前与党代表、38歳)、韓東勲(ハン・ドンフン、法務部長官、50歳)両氏のものを並べてみます。

尹錫悦が橙、李在明が群青色。横軸は9月24日から11月20日まで、縦軸は%。


尹錫悦が橙、李在明が群青色。横軸は9月24日から11月20日まで、縦軸は%。

韓東勲が橙、李俊錫が群青。横軸は9月24日から11月20日まで、縦軸は%。


韓東勲が橙、李俊錫が群青。横軸は9月24日から11月20日まで、縦軸は%。

 縦軸が異なるので分かりづらいのですが(どうやっても揃えられませんでした)、これを見ると、韓東勲氏についての報道量が11月に入り急速に増えているのが分かります。

 20日には4人の中で最も高い26.62%を記録しました。この日はじめて韓氏に逆転を許した李俊錫氏は22.62%でした。尹錫悦氏は18.06%、李在明氏は15.40%でした。

 もちろんこれは支持率ではないので注意が必要ですが、総選挙はいまのところ、与党・国民の力vs最大野党・共に民主党よりも、李俊錫vs韓東勲という「次世代の保守のスター」の争いとなっています。

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 15号でお伝えしたように、保守派人士の中で最も高い期待を集める韓東勲氏は、20日に保守の牙城である大邱(テグ)市を、続く21日には大田(テジョン)市を訪問し、法務部長官として行事に参加しました。いずれの場所でも支持者に囲まれ写真を撮るなど、すっかり政治家のたたずまいです。

 自身は来年の総選挙への出馬を明言していませんが、政治家への転身は既定事実と各メディアは揃って報じています。

 興味深いのがどうやら「移民政策」を自らのブランドとしながら、政治家としてのイメージを作って行く様子という点です。

 進歩紙『京郷新聞』によると韓氏はこの日、「外国人の出入国移民政策をしっかりしなければ韓国の未来はない」と発言したといいます。

 これは検察出身の法律家というイメージに、人口減に直面する韓国社会の問題を正面から解決するというイメージが重なり、なかなか効果的な戦略に映ります。

 「優秀な人材を世界から集め、不法滞在外国人を厳しく取り締まる」(韓氏)『移民庁』の設立がその象徴となる見通しです。

 見るからにエリート主義な移民政策を実現する力があるかは分かりませんが、韓氏への注目度は(特にメディアにおいて)非常に高い現実があります。

韓東勲氏(左)。右は呉世勲(オ・セフン)ソウル市長。呉市長のインスタグラムより。


韓東勲氏(左)。右は呉世勲(オ・セフン)ソウル市長。呉市長のインスタグラムより。

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 一方の李俊錫氏は19日、光州で開催したトークコンサートで「3年で政治を止める尹大統領が競争相手ではない」とした上で、「それよりも韓東勲法務部長官は公職者として積み重ねてきたキャリアがあり、一定の部分において国民の支持を受けているため、いつか韓長官と競争するかもしれないと考える」と明かし、意識する姿を見せました。なお二人とも大邱(テグ)市で出馬する可能性があります。

 注目される新党結成については、期限として「12月27日」を掲げています。この時まで「総選挙に勝てるくらいの状態を作るべき」と尹大統領に注文しており、これができなければ新党結成という形のようです。

 同時に尹大統領が受け入れない条件(例えば梨泰院惨事の家族との面談)を提示し、メディアを通じた尹大統領への圧力(?)を強めています。

「12月27日」という日付けについてはまた、自らも十分に準備するという意味合いもあるようです。

 李俊錫氏は現在、毎日どこかのメディアでインタビューを続け、与党と尹大統領、そして野党への攻撃を続けており、ひと言で「やりたい放題」といった状態です。

 そしてその傍らで「連絡網」と称し、名前(仮名も可能)やEメール、電話番号といった個人情報を募集しています。

 わずか数日で4万人を超え、李氏は「10万人までいく」と豪語していますが、いずれ新党を結成する際の支持者名簿を確保しているという見方があります。

 韓国では新党を結成する際、「創党(結党)準備委員会」を結成する必要があり、その第一段階が発起人大会となります。これを経て、地方に5つ以上の支部を結成した上で「創党大会」を開きようやく党として認められます。

 李俊錫氏が明かしたように、全国各地に支持者(連絡網)が存在する状況で新党結成は難しくないでしょう。世論の波を見ながらになりそうです。

今年3月に出版された李俊錫氏の政策や考えをまとめた書籍。『李俊錫の抗えない未来』というタイトルです。南北関係の分野では物足りない見識が目立ちます。筆者撮影。


今年3月に出版された李俊錫氏の政策や考えをまとめた書籍。『李俊錫の抗えない未来』というタイトルです。南北関係の分野では物足りない見識が目立ちます。筆者撮影。

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 他方、最大野党・共に民主党は明らかに精彩を欠いています。

 党内に李在明代表とは一線を画す「革新派」が生まれましたが、その勢力は大きくありません。

 そればかりか、若者世代を対象にした選挙キャンペーン用の懸垂幕案が流出し、大ひんしゅくを買っています。

 「政治は分からないが、よい暮らしがしたい」、「経済は分からないが、お金持ちいなりたい」、「一人で生きたいと言ったのであって、一人でいたいはずはない」と、いずれも若者世代を馬鹿にした内容でした。

 当初は「広告会社に任せただけ」と逃げましたが、最終的に謝罪に追い込まれました。大失態でしょう。既存の野党はこれといったインパクトがなく、足踏み状態と言えます。

共に民主党の懸垂幕案。二つ目から「政治は分からないが、よい暮らしがしたい」、「経済は分からないが、お金持ちいなりたい」、「一人で生きたいと言ったのであって、一人でいたいはずはない」と並ぶ。ウェブ上で流通するものを引用。


共に民主党の懸垂幕案。二つ目から「政治は分からないが、よい暮らしがしたい」、「経済は分からないが、お金持ちいなりたい」、「一人で生きたいと言ったのであって、一人でいたいはずはない」と並ぶ。ウェブ上で流通するものを引用。

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 ニュースレターではあまり政局の話を書きたくありません。書く内容は山ほどある上に、切った張ったの話はそれなりに面白いでしょう。しかしその繰り返しが今の完全に行き詰まった、先が見えない韓国社会を生み出したことを忘れてはなりません。

 ただ、李俊錫と韓東勲、そして以前のニュースレターで紹介した共に民主党の李誕熙(イ・タニ、45歳)議員などは明確に大統領を目指している政治家であり、韓国政治の世代交代の先頭にいる人物であることは間違いありません。注目しない訳にはいかないでしょう。

 私はこのニュースレターを朝鮮半島の話をこれまでにない形で伝えるメディアに育て、それを基盤として韓国社会に向けた韓国語での言論活動も行い、そのフィードバックもまた読者と共有しようと考えています。

 李俊錫氏も韓東勲氏も政治家としてはまだまだ未知数な部分が多い人物です。とりわけ南北関係や朝鮮半島情勢についてどんな考えを持っているのか、まだまだ検証が必要です。

 いずれにせよ総選挙を終点とする報道ではなく、長い呼吸で見ていきたいと思います。

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◎ショートニュース

(1)国家の電算網が止まる

 デジタル化で日本の先を行く韓国ですが、市民の日常に欠かせない役所仕事のサービスが止まり、大きな騒ぎとなりました。

 17日(金曜日)の朝から、韓国の地方自治体の行政サービスに関する電算網が停止し、窓口を通じた戸籍謄本や印鑑証明書、転出入など基本的な書類の発行ができなくなりました。午後からはインターネット上の政府サイトもストップし、事実上、役所の書類発行機能が麻痺しました。

 平日に起きた突然の出来事により、様々な契約に必要な書類が揃わず苦労する市民の声が韓国のニュースにあふれました。

 また進歩紙『京郷新聞』は18日付けの社説で今回の電算網の麻痺を「災難(災害)」と位置づけたた上で「SMS(携帯電話のショートメッセージ)へのお知らせもなかった」と、政府の対応を批判しました。

 この状況は翌18日まで続き、19日になってようやく復旧しました。原因は「ネットワーク設備でのエラー」とされますが、エラーの種類と頻繁に起こる類のものではないため、復旧が長引いたということです。正確な原因究明はこれから行われます。なお、北朝鮮によるハッキングの可能性はないと政府は明かしています。

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(2)「犬食」全面禁止の立法へ

 大統領夫人の金建希(キム・ゴニ)氏は熱心な動物愛好家として知られています。以前より韓国で規制をめぐり議論があった「犬食」についても踏み込んだ発言をしています。

 今年8月には犬食を止めることを求める市民団体の記者会見に出席し「伴侶動物(ペット)と人間が親友になり共存する時代です。違法な犬の食用産業はなくなるべきと考えます。私も共に犬食がなくなるまで運動し努力する」と述べました。

 韓国で犬の肉は、牛や豚などと異なり、流通経路が法律化されていません。「出処の分からない肉」であることが、ひどい環境で犬を食用のためだけに育てる温床となっていることから、批判の声が高まっていました。

 前出の記者会見当時の『ハンギョレ』記事によると、ソウル大学の獣医人文社会学教室が行った世論調査で、過去10年間犬食をした経験があるという回答は22%、今後犬食をする意向があるという回答は13%だったそうです。

今年8月、犬食禁止を求める記者会見に飛び入り参加した金建希氏。大統領室提供。


今年8月、犬食禁止を求める記者会見に飛び入り参加した金建希氏。大統領室提供。

 そして17日、政府と与党が犬食を禁止する特別法を年内に発議すると明かしました。

 『SBS』によると特別法は「食用の犬の飼育と屠畜(屠殺)、流通、販売を全面禁止」するというものです。

 背景について与党議員は「伴侶動物を養育する世帯の増加、高まった国民の意識および韓国の国際的な位相を考慮する際に、韓国社会が犬食を終わらせる時点にきた」と説明しています。

 最大野党・共に民主党も法案に賛成する意向を示しており、年内に法律が成立する見通しです。

 特別法によると全面禁止に向けては、3年間の猶予期間を設けるとしていますが、業者は「国民の食べ物を制限し、国民の基本権を侵害し関連した労働者の生存権をほったらかしにしている」(SBSより)と反発しています。

 同記事によると、韓国では現在、犬を飼育する農家が約1100か所、食堂は1600にのぼるそうです。政府は別業種に就いたり廃業を支援すると明かしていますが、過去、基調なタンパク源であった韓国の伝統料理の一つと見る向きもあり、まだまだ議論を呼びそうです。

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(3)尹錫悦大統領の義母が文書偽造で懲役1年

 尹錫悦大統領の義母・崔銀順(チェ・ウンスン、77歳)氏に対し16日、大法院(最高裁)で懲役1年の判決が確定しました。

 韓国メディアによると、崔氏は13年、京畿道(キョンギド)城南(ソンナム)市の土地を購入する際、数度にわたり合計349億ウォン(現在のレートで約38億円)の預金と残高証明書を偽造したかどで裁判を受けていました。

 崔氏は他にもこの証明書を裁判所に提出し、他人名義で土地売買をした疑いももたれており、三つの容疑は一審、二審でいずれも有罪となりました。

 特に今年7月の二審では「莫大な収益を得るために私文書を偽造・行使した」「犯行の規模と手法を見るとき罪質が不良である」(SBSより)として法廷で拘束されました。崔氏はこの際「ここで死んでやる」と述べ倒れたそうです(同)。

 今回、大法院では同氏の保釈も認めませんでした。尹大統領は大統領候補時代の21年5月、現与党の議員に対し「私の義母が詐欺の被害にあったことがあっても、誰かに10ウォン一枚の被害も与えたことがない」、「私の義母はビジネスを行う人であるだけ」(聯合ニュース)と強調したとされます。

 なお今回の判決を受け、野党は「尹大統領は謝罪すべき」としています。一方。大統領室では「大法院の判決に言及するのは適切でない」とコメントを出しました。

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◎「その後」のニュース

 過去にお伝えしたニュースはその後どうなったのか?いわゆる「続報」をお伝えする新コーナーです。

(1)「政府の介入?」公営放送KBSは労組が新社長を起訴

 第15号でお伝えしたように、今月13日、公営放送KBSに朴敏(パク・ミン)新社長が就任しました。朴社長は就任わずか一日で人気時事ラジオ番組と時事テレビ番組を事前通告もなく廃止し、メインニュースのアンカーを交替させるなど「強権」を振るいました。

 そしてついに20日、全国のメディア従事者が参加する労組『全国言論労働組合(言論労組)』のKBS支部が、朴社長を告発することにしたと『MBC』が伝えました。

 同記事によると告発の内容は「朴社長が就任してすぐに制作陣との協議もなくプログラムを廃止し、ニュースと時事番組の司会者を前面交替した」というものです。

 具体的には時事ラジオ番組の廃止における放送法の違反で朴社長を検察に告発し、時事番組の廃止とニュースアンカーの交替する過程で、労働組合側と必要な手続きを無視したということで雇用労働部に告発すると発表しました。

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(2)「導入無期限延期」紙ストローは徐々にプラスチックへ

 今月23日の移行期間終了を目前に、韓国政府が突如「無期限延期」を決めたプラスチックストローの廃止。代替品の紙ストローを作る会社が経営難を政府庁舎前で直訴し、環境団体が「環境政策の責任を放棄した」と環境部を批判するなど大きな波紋を読んでいます。

 決定から約10日が経ちましたが、『SBS』によるとスターバックスをはじめとする大手カフェや大手コンビニでは当分の間、紙ストローだけを使う予定とのことです。

 背景にはこうした会社が18年に環境部と締結した「紙ストローの使用拡散」協約が維持され、環境を重視する企業の方針に変わりはないという点があるそうです。

 一方で、小規模のカフェでは安価なプラスチックストローへの回帰が見られるとし、紙ストロー業者の苦境は明らかです。

 同記事によると政府は「売り場には紙ストローだけ備え、客が求める場合にだけ紙ストローを提供するようお願いする」と店側に頼んでいるそうですが、義務ではないため守られていないとしました。

 私がよく通うカフェでは延期措置が発表された後も紙ストローのままですが、ちょうど今ニュースレターを書いている大手チェーンではプラスチックストローに変わっています。

 なお、『SBS』では大手チェーン店7系列の紙ストローに有害物質が含まれるのか検査した記事を書きましたが、いずれの紙ストローからも発見されなかったそうです。

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(3)医大定員増員は大学側の要望が出揃う

 第9号(10月23日発行)でお伝えした、06年から年間3058人のまま据え置かれたままの大学医学部定員の拡大。

 保健医療労組が今月21日に発表した最新の世論調査結果では、57.7%が「とても必要」、25.0%が「必要」と答えたとされ、依然として韓国市民の高い期待が存在することが分かります。

 この調査ではさらに「非首都圏地域における医師の養成と公共医療の拡充のために国公立大を中心に定員を拡大すべきか」という設問もありますが、これに対しては47.5%が「とても必要」、35.8%が「必要な方」と答えています。

 大病院が首都圏に集中している現状を改める必要性が浮かび上がってきます。

 一方で、大学を対象に行った増員規模についての調査もありました。

 先月27日から今月9日まで政府が全国40の医大を対象に行ったものです。結果は2025年入学からは2000人前半~2700人の増員、2030年には「4000人に近い増員を望む」というものでした。

 政府は13日にも、医大定員の「1000人増員」を発表するとされましたが、医師の団体である『大韓医師協会』の反発のために発表できなかったと韓国各紙は伝えています。

 同協会は15日にソウル市龍山(ヨンサン)にある大統領府の前で集会を持ち「医療ポピュリズムに巻き込まれる場合、これからの未来世代の医療のお先が真っ暗だ」と主張しました。

 そんな中、政府は21日に上記調査の結果を正式に発表しました。

 これによると2025年入学(来年の入試)では40の大学で最少2151人から最大で2847人の増員、その後持続的に定員を拡大し2030年入学までには最少2738人、最大で3953人の増員を希望するという内容でした。

 韓国政府では現在、この問題に保健福祉部の医学教育点検班が対応していますが、来年1月までには増員の内容をまとめ教育部に報告するとしました。

 『大韓医師協会』は全面ストライキもあると強く反発しています。医学部定員増員が受験戦争を激化させ格差を拡大させるという指摘もある中で、医療不平等の改善につながる場合には、尹政権の一つの大きな成果となりそうです。

21日、会見を開き「全面ストライキ」を警告する大韓医師協会。同団体HPより引用。


21日、会見を開き「全面ストライキ」を警告する大韓医師協会。同団体HPより引用。

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(4)株の「空売り禁止」に尹大統領がはじめて言及

 ニュースレター第13号(11月7日)で取り上げた、韓国政府による全ての国内上場株式市場での「空売り禁止」措置。

 一部海外機関による違法な空売りを防ぐためという理由と説明したものの「個人投資家に過度に配慮する総選挙用のポピュリズムだ」、「先進国としてあり得ないもので信頼を失う」と批判が相次ぎました。

 これについて発表後はじめて、尹錫悦大統領が言及しました。

 14日の国務会議(閣議)冒頭での発言の中で「これ以上の被害を防ぐため、根本的な改善法案を作り出すまでは空売りを禁止する」と改めて強調しました。現在の政府発表では6月末までとなってます。

 尹大統領は今回の措置が国際的な信頼を損ね、韓国政府が目標と公言してきた『MSCI(モーガンスタンレーキャピタルインターナショナル)先進指数』への編入に悪影響を及ぼすという「憂慮」の存在を認めました。

 そして「韓国の証券市場は変動制が大きく、個人投資者の比重も高いため(今回の措置が)長期的には証券市場の競争力に肯定的な影響を与える道だと考える」という楽天的な考えを明かしました。

 さらに「違法な空売り問題をこれ以上放置するのは公正な価格形成を難しくし、個人投資家に大きな損失をかぶせるだけでなく、証券市場の信頼低下と投資者の離脱を招く可能性がある」とその目的をはっきりとさせました。

 金融当局に改善方法を探すことを求めましたが、順序が逆の見切り発車という印象を抱かざるを得ません。

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(5)「短髪だからフェミニスト」コンビニ女性暴行事件の犯人が起訴

 今月4日深夜、韓国南東部の都市・晋州(チンジュ)で24歳の男性が、コンビニで勤務中の20代の女性店員A氏を暴行する事件が起きました。

 酔った状態で入店した男性B氏は、店内の品物を投げつけるなどし、警察に通報しようとした女性店員の携帯電話を奪い電子レンジに入れ爆発させたばかりか、さらに暴力を振るいました。

 男性は現場にかけつけた警察により検挙されましたが、店員女性も耳を痛め靱帯が切れるなどの重症を負い、止めに入った50代男性C氏も額や鼻や腕を骨折する重傷を負いました。

 単純な暴行事件ではありませんでした。

 B氏はA氏を暴行する際に「お前はフェミニストだから殴られてもよい」と述べたとされ、取り調べの中でも「(A氏の)髪が短いのを見るとフェミニストに間違いない」、「自分は『男性連帯(男性優越主義者が集まるコミュニティ)』の者だが、フェミニストは懲らしめる必要がある」といった旨の発言をしていたとされ、社会に衝撃を与えました。

 B氏は21日、検察により起訴されました。

 進歩紙『ハンギョレ』によると起訴に際し大検察庁は今回の事件を「嫌悪犯罪(ヘイトクライム)」と規定しました。

 さらにこれを「社会共同体の核心の価値である人間の尊厳と平等を害し、社会的な分裂と葛藤を誘発・深化させ、社会の平穏を阻害すると同時に、特定の集団に属する人々に犯行の標的になるという恐怖と不安を呼び起こすなど深刻な社会的問題を惹起する」と位置づけました。

 その上で各検察庁に対し今後、ヘイトクライムに厳正に対応するよう指示したとします。

 他方、被害者A氏は18日にツイッター(現X)にアカウントを開設しました。

 自身が加害者B氏を挑発したことはないとしながら、B氏が相応する処罰を受けてほしいと明かしつつ「自分を見失わず負けない」と決意を述べました。

 この事件に関しては現在、国民同意請願制度を通じB氏への強い処罰と名前や顔写真の公開を求める運動が起きています。じきに同意が5万人を超える見通しで、政府が対応することになります。

加害者に厳罰を求める国民同意請願制度の画面。筆者がキャプチャ。


加害者に厳罰を求める国民同意請願制度の画面。筆者がキャプチャ。

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(6)「金浦市のソウル市への編入」は段階的に行うことに

 与党・国民の力が来年4月の総選挙用にぶち上げた京畿道(キョンギド)金浦(キムポ)市のソウルへの編入。当初はそのインパクトから大きな注目を集めましたが、低い支持率や実現可能性を前に与党のトーンも徐々に下がっています。

 特にソウル市も慎重な姿勢です。15日、呉世勲(オ・セフン)ソウル市長は与党の「ニューシティープロジェクト」をまとめる議員団と面会した席で「ソウルと首都圏の隣接都市の急激な編入が行われる場合、成功する統合を達成することが難しくなる可能性がある」と問題を提起しました。

 具体的な内容としては、現在の京畿道地域の市長の権限と、ソウルの一区長の権限が異なり都市計画の樹立などに支障が出る可能性や、財政中立性への変更点(税収減)を見越し、まずは「自治市」としてソウル市に編入し、6~10年をかけて完全な統合を行うというものです。猶予期間が必要だということです。

 与党は翌16日、特別法を発議しました。法案は金浦市の編入のみを対象とするものです。京畿道の他地域は含まれませんでした。

 韓国紙によると法案では2025年1月1日に金浦市をソウル金浦区として編入するも、金浦市が得ている税制面や大学進学の特別枠(農漁村枠)は6年間維持するというものでした。また、編入後1年間は京畿道の条例と規則に従うという移行期間も設定されました。

 韓国の国会は現在、野党が過半数を占めているので法案が国会で可決される可能性はほぼありませんが、いったん形にしたことで後は世論の評価を待つことになります。

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◎あとがきに代えて:ご意見お聞かせください

 今号は長すぎました。欲をかいて新機軸を打ち出してみたのですが、うまく収まらず悩ましいです。良質のドキュメンタリー紹介はしたいですし、続報も必要です。もう少し全体のボリュームを抑える形で続けてみます。

 また、一つご提案というかご意見をお聞きしたいのですが、今は週2回ですが、今後例えば火曜日、金曜日に今のような形でまとめてお送りしつつ、そこに入る記事を単発記事という形で配信してもよろしいでしょうか。

 リアルタイムで有料・無料記事を配信することで、よりたくさんの読者を獲得しようとする試みなのですが、現在の有料読者の方は届くメールが増えることになるので、わずらわしいかもしれません。この点、ご意見お聞かせいただけると参考になります。

 整理すると、▲不定期に単発記事を配信、▲これまで通り火曜日・金曜日にニュースレターという形で配信、▲火曜日・金曜日のものだけ読めば漏れはない、という形になります。

 明日22日は北朝鮮による衛星発射があるかもしれません。また次号でお目にかかります。ありがとうございます。(徐台教)

ベリー君は元気です。


ベリー君は元気です。

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