ニュースレター号

[78号] 書籍発売以降のご報告

サポートメンバーの皆さん、アンニョンハセヨ。徐台教です。

私が住む金浦(キンポ)は最近、秋まっさかりです。空は抜けるように青く、空気は澄んで、万物が慌ただしく動いているような雰囲気が伝わってきます。夏と冬が延び、「韓国の秋は随分みじかくなった」と言われますが、それでも韓国は秋が最も美しいのではないかと思います。

などと、呑気なことを言っている場合ではありません。前号をお届けしたのが9月15日でしたので、一か月が経過したことになります。遅れてしまったことをお詫びいたします。遅れることが常態化してしまい、申し訳ないかぎりです。

◎東京での販促活動

その間、東京に二度、行ってきました。

一度目は、9月末です。9月26日の新著『分断八〇年 韓国民主主義と南北統一の限界』の発売日に合わせたものでした。前日に東京入りし、共同通信でインタビューを受けました。

日本のヘイトスピーチ報道をリードする人物の一人、角南圭祐記者によるもので、以下のような記事となり公開されています。丁寧な構成で、感謝しています。登録などせずとも全文読むことができますので、まだ未読の方はぜひご覧ください。

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晩には、版元の集英社クリエイティブの編集者の森山聡平さんを交え、ささやかなお祝いをしました。何度かお伝えしたように、本の企画が始まったのは2018年6月のことです。足かけ7年の労苦を「まさかこの日が来るとは」としみじみと振り返りました。

そして迎えた発売日。軽い二日酔いの中、私は新宿の紀伊國屋に向かいました。東京で最も大きい本屋はジュンク堂池袋本店とのことですが、あえてここに行ったのには訳があります。

20歳の頃、私は東京に住んでいました。大学受験に失敗した後、家庭の事情から横浜の新聞配達の店舗の就職し1年半近く過ごしたあと、そこを辞め、東京の姉の家に転がり込んだのです。

学びたい思いを抱えながら、都内でアルバイトをし、空いた時間に読書をするという生活を続けていました。もちろん、昼も夜もそれなりに東京の街を徘徊しました。当時、新宿に寄る際に必ず立ち寄ったのが紀伊國屋でした。

たくさんの本を眺めながらその知的蓄積に圧倒されると同時に、「いったい俺は何をしているんだ」という鬱屈とした思いが押し寄せ、みじめな気持ちになり、とぼとぼと店を後にしたことが何度もあります。

ですがこの日、その紀伊國屋に、私の本が並んでいました。ノンフィクションの棚ではなく、奥まった朝鮮半島コーナーでしたが、表紙が見えるよう、しっかりと陳列してありました。

9月26日、紀伊國屋にて。


9月26日、紀伊國屋にて。

この瞬間の気分は、なんとも言えないものでした。達成感というよりも、ようやくスタートラインに立ったという思いが強かったのは意外でした。

ずいぶん時間がかかってしまいましたが、一人のジャーナリストとして、論をぶつ資格ができたというか、そうしていこうという覚悟が押し寄せてきました。

さらに、出版社の事務所でインタビューを受け(これは後日公開されます)、その間お世話になった方々に挨拶をしていったん、韓国へと戻りました。

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二度目の東京行きは、10月の初頭でした。今度は少し長い一週間の滞在。到着した翌日にはなんと、出版記念パーティーがありました。場所は東京の青山。何度か「ポリタスTV」でお世話になったジャーナリストの津田大介さんと青木理さんが呼びかけてくれたものです。

当然、生まれて初めての経験なのですが、総勢50人が参加する大きなパーティーとなりました。

来られた方の名前をここで全て挙げることはできないのですが、在日コリアンの作家・深沢潮さんや、一〇万部の大ヒット新書を出された辻田真佐憲さん、ジャーナリストの安田奈津紀さんと佐藤慧さん、やはり著述家の伊東順子さん、翻訳家の斎藤真理子さん、ジャーナリストの橋本愛喜さん、著述家のフリート横田さん、ラッパーのダースレイダーさんなど錚々たる方々が来られ、とても嬉しい時間となりました。

「まさか本当に本が出るとは思わなかった」という話を笑ってすることができて、ホッとしました。

会の冒頭では青木理さんとのトークを。


会の冒頭では青木理さんとのトークを。

この日は、何人かの方と明け方まで話をして分かれました。みな一国一城の主という体なので、これからさらに頑張らなければならないなと気が引き締まりました。

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翌日には、やはり津田さんと青木さんと共に、「ポリタスTV」に出演しました。これまではリモートと韓国での出演だけでしたが、はじめて六本木のかっこいいスタジオからの生放送でした。

日本国内のニュースに加え(この時はまだ自民党総裁選前で、高市さんの当選を予想したのは津田さんだけでした)、本の紹介もしていただき、感謝感激の時間でした。番組後には実際に、Amazonでの順位が急上昇するなど、売上にも良い影響が出ました。

この日はまた、ポリタスTVの会員さん限定の番組(二部と呼ばれるものです)にも続けて出演しました。けっこう口が滑って、ちょっとまずいかなという内容もありましたが、前述したような若い頃のお話ができて、個人的には節目の時間となりました。

上記がポリタスTVのリンクとなります。第一部です。会員の方は続けて第二部が観られるはずです。

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週末の土曜日は、都内の書店めぐりをしました。ジュンク堂の池袋本店では、入ってすぐの所に『分断八〇年』が平積みになっていました。誰が手に取るのか、本だなの影から10分ほど見守っていましたが、誰も手に取りませんでした。

しかし改めて、日本の本屋さんの活気に驚きました。ひっきりなしに人々が訪れ、本を買って出ていきます。出版業界の苦境は広く伝わってきますし、私も今回、身にしみて感じています。ちょうどジュンク堂にいる時に高市さん当選の一報に触れましたが、これだけ本屋に人がいるならなんとかなるだろうと、楽観的な考えが浮かびました。大丈夫…ですよね?

ジュンク堂です。メルケル本の隣でした。下の「私が見た金正恩」は買いました。キューバから亡命してきた北朝鮮外交官・リイルギュさんの書籍です。


ジュンク堂です。メルケル本の隣でした。下の「私が見た金正恩」は買いました。キューバから亡命してきた北朝鮮外交官・リイルギュさんの書籍です。

日曜日には、東京朝鮮中高級学校の運動会を見学に行きました。子どもを同校に通わせる、群馬の朝鮮学校(私は小学校だけ朝鮮学校を出ています)の同級生のお誘いでした。

朝鮮学校の中に入るのは数年ぶりのことでしたが、昔と変わらぬ騎馬戦などのたたかいなどの雰囲気を前に、懐かしさと、「変わらないな」という思いが交差する時間でした。

一方で、一つ下の世代である、在日4世の子ども達の姿を見ながら、「この子たちのためによい社会を作らなければ」という思いも新たにしました。

もちろんこの場合の社会とは、南北朝鮮と日本を指すものです。

学校の入口。


学校の入口。

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東京ではさらに、2件の番組に出演しました。

10月6日はTBSラジオの『荻上チキ・Session』でした。これまた初めてのスタジオ。実はこの番組には2018年4月から出続けています。当時は、11年ぶりの南北首脳会談を受けてのものでした。

あれから7年、時代は大きく変わり、南北関係は遠く離れてしまいましたが、どうやり直すのかを新著に込めたつもりです。それについて、チキさんが的確な質問をしてくださり、30分の出演時間があっという間に過ぎていきました。番組は以下のリンクからお聞きになれます。

荻上チキさん(左)、南部広美さんとTBSラジオのスタジオで。


荻上チキさん(左)、南部広美さんとTBSラジオのスタジオで。

もう1件は、知る人ぞ知る(?)YouTubeの人気番組『NoHateTV』でした。出版記念パーティーにも来ていただいた野間易道さんの司会で、書籍や韓国社会の極右化、さらに高市政権についてなどをお話ししました。

下記リンクの1時間8分あたりから、15分ほど出演(事前収録)しています。

日本でふたたび広がりを見せる排外主義に対し、野間さんは今も「カウンター」として活躍しています。その活動方法をめぐっては色々な批判もあるようですが、私は「カウンターがいなければ今の日本社会はもっとひどくなっていた」と確信し、一貫して支持しています。

今回は時間が合わず、ヘイトスピーチの現場を取材することはかなわなかったのですが、次回の東京訪問の際には行く予定です。

この他にも、二度目の東京では、たくさんの方と会い意見を交換しました。また、東京新聞(中日新聞)の取材も受けています。今後、記事化される際にまたお知らせします。

「次の一作」についての話も出ていまして、色々と考えが深まる時間でした。

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◎あとがきに代えて

韓国に戻ってきた後には、まだ本調子ではない日々が続いています。インプットは続けているのですが、なかなかアウトプットをするに至らない形ですが、それも今日のニュースレターで終わりです。

また新しい週から毎週金曜日に定期的にお届けしていきます。定期寄稿予定の張惠英さんの原稿はもう少しお待ちください。

言い訳のようですが、いつも心の中には「ニュースレターでどんな話をお届けしようか」という思いと共に、サポートメンバーの皆さんへの深い感謝があります。

幸い、書籍は好評です。Amazonや読書メーターにレビューが付き、SNSでも良いコメントが散見されます。18日土曜日には毎日新聞で短評(書評)が掲載されました。

たくさん売れて、日本における朝鮮半島理解が深まる一助になれればと思います。サポートメンバーの皆さまも書籍の拡散にご協力いただけると幸いです。

こっそり添付します。本来は有料記事なのでこちらの転載はご容赦ください。


こっそり添付します。本来は有料記事なのでこちらの転載はご容赦ください。

来週(明日)からまた、バリバリ現場取材に出かける予定です。これからまた、よろしくお願いいたします。

最後となりましたが、サポートメンバーの皆さまの中から3名様に本をプレゼント(サイン入り)いたします。

応募の方法は、seodaegyo@gmail.com 宛てに、ひと言「応募」とだけ書いたメールをお送りください。抽選用のアプリを用い厳正に当選者を選んだ後で、当選者の方には住所などをお尋ねすることにします。

たくさんのご応募、お待ちしております。発送は次回、東京に行く11月10日前後となります。

それではまた、金曜日(24日)のニュースレターで。皆さん、本当にありがとうございます。(徐台教)

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