ニュースレター号

【デイリー・コリア・フォーカス】26年9月9日号:「障害者たちが映画を楽しむ権利」までの10年、新たに開通…ロシアと朝鮮を結ぶ「陸地橋」が意味するもの、今日の時事韓国語「기자회견」

皆さま、アンニョンハセヨ。9月9日のニュースレターをお届けします。

今日は昼間、仕事で韓国の国会に行きました。ソウルを東西に流れる漢江(ハンガン)という川の中洲・汝矣島(ヨイド)にあります。地形のためか日ごろから風が強いのですが、今日はもう、完全に秋の風でした。

国会前の芝生から一枚。

国会前の芝生から一枚。

個人的には、この先一か月半くらい、つまり10月半ば過ぎくらいまでが、一年でソウルが最も美しい時期だと思います。色々な写真や動画をお見せできるようにします。

序論が長くなりました。今日の内容は以下の通りです。

(1)「障害者たちが映画を楽しむ権利」までの10年
(2)新たに開通…ロシアと朝鮮を結ぶ「陸地橋」が意味するもの
(3)今日の時事韓国語「기자회견」

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1. 「障害者たちが映画を楽しむ権利」までの10年

「映画館が原告に字幕や画面解説、その受信機器などを提供しないことは、『障害者差別禁止法』が禁じる差別行為にあたる」

今月3日、韓国の大法院(最高裁)は、視覚・聴覚障害者にも障害のない人と同じように映画を楽しむ権利があり、映画館には字幕や画面解説を提供する義務があると認めました。

この「当たり前」にたどり着くまで、10年6か月もの時間がかかりました。

判決の根拠となったのは、2008年施行の「障害者差別禁止および権利救済等に関する法律」でした。

この法律は、入場を断るといったような目に見える差別だけでなく、一見平等でも結果として不利益が生じる「間接差別」も禁じています。

例えば同じ映画を視聴する場合にも、字幕や音声ガイドがなければ、視覚・聴覚障害者は映画の内容を十分に理解できません。この時、字幕や画面解説は映画館の厚意ではなく、権利を実現するために必要なものとして受け止められます。

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視覚障害者2人と聴覚障害者2人は2016年、「障害者も差別されず、平等に映画を見られるようにしてほしい」と、大手映画館運営会社3社を提訴しました。

2017年の一審は原告の訴えを全面的に認め、画面解説や字幕に加え、上映情報の案内、点字、拡大文字、手話通訳なども提供するよう命じました。

しかし2021年の二審では、差別は認めながらも、上記の提供範囲を「300席以上の上映館」で「全上映回数の3%」に限定するとしました。

つまり、100回上映しても字幕や画面解説がつくのは3回だけです。限られた上映回に予定を合わせるのは、決して簡単ではありません。

大法院は今回、この二審判決を破棄し、ソウル高裁で審理をやり直すよう命じました。

映画館側の負担を重く見すぎたと判断したのです。ただ、すべての上映回での提供を命じたわけではなく、負担を抑えながら同じように映画を楽しめる方法を改めて検討するよう、求めました。今後、どのような解決策が示されるのか注目です。

韓国メディアによると、判決後、原告代理人のキム・ジェワン弁護士は「見たい映画を、望む時間に見る。当然の権利が認められるまで、あまりにも長い時間がかかった」と語り、文化を楽しむことを一つの権利として認めた点に意義があると判決を評価しました。

・分かりやすい判決文で説明

またこの日、大法院は初めて「イージー・リード判決文」を作成しました。

これは難しい法律用語を日常的な言葉に置き換え、図やイラストも交えて伝えるという、当事者が判決を理解しやすくするためのものです。

韓国では2022年、ソウル行政裁判所が初めて作成し、2026年1月には障害者や高齢者らへの司法支援の一つに位置づけられました。法廷には手話通訳者が立ち、判決内容はスクリーンにも文字で表示されました。

韓国初の「イージーリード判決文」の一部。今年6月29日の判決時から導入された。「簡単な要約」とされ、原告の勝利が分かりやすく表現されている。ソウル行政裁判所より引用。

韓国初の「イージーリード判決文」の一部。今年6月29日の判決時から導入された。「簡単な要約」とされ、原告の勝利が分かりやすく表現されている。ソウル行政裁判所より引用。

同じ判決文の中の、別の説明。先ほどの図が「要約」だとしたら、こちらは「やさしい説明」となる。分かりやすい言葉で書かれている。判決文の最後の部分には、通常の「分かりづらい」判決文が続く形だ。ソウル行政裁判所より引用。

同じ判決文の中の、別の説明。先ほどの図が「要約」だとしたら、こちらは「やさしい説明」となる。分かりやすい言葉で書かれている。判決文の最後の部分には、通常の「分かりづらい」判決文が続く形だ。ソウル行政裁判所より引用。

今回の判決は確かな前進です。

ただ韓国では、あらゆる差別を対象とする包括的な「差別禁止法」がいまだ成立していません。2007年以来、国会に発議され、廃案となる事が繰り返されています。

当たり前の権利を認めさせるまでに10年を要した事実は、とても重いものです。誰もが長い闘いを強いられずに権利を享受できる社会まで、道のりはまだ半ばといったところです。

・朴眞煥の今日のひと言

記事を書いた7日は、東京での在宅勤務でした。この原稿を書き終えたあと、お腹をすかせて帰ってくる子どもの夕食をつくろうと、近所の大型スーパーへ出かけました。

そこで目に入ったのは、車いすに乗り、膝の上に買い物かごを載せて商品を選んでいる人の姿でした。膝の上のかごを見て、買い物という日常にも、私には見えていない不便があるのかもしれないと、気づかされました。

私にとって当たり前のことが、誰かにとっては、工夫を重ね、ときには声を上げて、ようやくできることなのかもしれません。この判決について書いた直後だったからでしょうか。見慣れたスーパーの風景が、その日は少し違って見えました。(朴眞煥)

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2. 新たに開通…ロシアと朝鮮を結ぶ「陸地橋」が意味するもの

8日、朝鮮民主主義人民共和国(以下、朝鮮)の国営・朝鮮中央通信は、朝鮮とロシアを結ぶ自動車用の橋が開通したことを明かしました。

朝鮮の羅先(ラソン)市とロシアのハサンを結ぶものです。ここには従来、鉄道橋がありましたが、隣に新たな橋ができた形です。間に流れるのは豆満江(トゥマンガン)です。

同通信は、朝鮮とロシア側双方で行われた竣工式の様子を伝える該当記事の中で、「朝ロの間の経済協力の重要な下部構造が補強され、人的な交流と観光、商品の流通をはじめ、多方面での協力を活性化する担保が作られた」と、橋の意義を強調しました。

朝鮮側は橋の名称を「豆満江自動車橋」としていますが、正式名称は「ヤコフ・ノヴィチェンコ橋」といいます。これは過去、金日成(キム・イルソン)を暗殺から救ったソ連の軍人の名前に由来しています。

やはり同通信はこの名称について、「両国の人民の善隣友好関係を、真の同志的な信頼関係に変わらず強化・発展させるという、両国指導部と人民たちによる確乎不動の意志の現れ」と説明しています。

8日に行われた竣工式の様子。朝鮮中央通信より引用。

8日に行われた竣工式の様子。朝鮮中央通信より引用。

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・橋の持つ意味

このままでは宣伝記事の紹介になってしまうので、引用はここまでとして、この橋が持つ意味について見ていきましょう。

同日、韓国の国策シンクタンク統一研究院は、『北露の連結強化から見た、北中露関係の動学:豆満江自動車橋と北韓の選択』というオンラインレポートを出しました。著者は鄭恩伊(チョン・ウニ)北韓研究室長です。

同氏はまず、「この橋がなぜこんなに早く連結されたのか」に注目すべきとしました。

先の記事にも「465日で完工した」とありました。鄭氏は米メディアに掲載された衛星写真の分析と、今年8月の現地訪問を通じ、朝鮮側が先に完工していたことを指摘しました。

この事から、橋の建設には「北韓が積極的だった」と結論付けています。

その背景には需要があるとします。従来の鉄道は一定量の物資が集まらねば運行できず、さらにロシアと朝鮮では軌道幅が異なるため、荷の積み替えや車輪の交換が必要となる手間がありました。

この点、自動車橋はよりフレキシブルで効率的だというのです。需要についても、ロシア側の報道を元に「毎日300台、今後は800台まで拡大可能」とし、橋を朝露間の「新たな輸送能力の増加である」と位置づけています。

・中国との兼ね合い

鄭氏はまた、この橋が朝中露の三国関係に及ぼす影響についても考察しています。

下記地図にあるように、橋は朝中国境を流れる豆満江の河口付近に位置しています。

青印が豆満江自動車橋の位置。グーグルアースより引用。余談ですが「コリア・フォーカス」ももう少し資金を集め、定期的に民間衛星写真を撮影・利用したいものです。これは必ず成し遂げます。

青印が豆満江自動車橋の位置。グーグルアースより引用。余談ですが「コリア・フォーカス」ももう少し資金を集め、定期的に民間衛星写真を撮影・利用したいものです。これは必ず成し遂げます。

前述したように、もとより鉄橋があったとはいえ、ここに新たな橋をかけることは、中国の日本海側への進出を「塞ぐ」効果をもたらすのではないかという見方があるのです。この影響についてのお話です。

これについて鄭氏は、豆満江の河口は水深が浅く船舶の運航のためには大規模な浚渫が必要である点、しかし同地に堆積した土砂の価値が低い点を指摘します。つまり、元々、中国の船舶が日本海(原文では東海です)に出るのは現実的ではないということです。

その代わり、中国は「借港出海」、つまり朝鮮やロシアの港を借りる方法を執ってきたとします。

鄭氏は今年8月、訪中した際に聞いたという、中国の学者の発言をこう紹介しています。「既に橋があるのに、その隣に橋がもう一本できたことを大きな変化と呼べるのか」。

他にも朝鮮側の立場として、港湾を中国に貸すことによる利益に加え、自動車橋がもたらす新たな利益を捨ててまで、中国側に豆満江の航行を認める要因がないと指摘しています。

そしてこれらを根拠に、「豆満江の自動車橋は、北・中・露協力の亀裂を示す事例ではなく、北・中・露協力の複雑性を見せる事例に近い」と結論付けています。

その上で、この三国は、「戦略的な次元では一定の利害関係を共有するが、個別の事業では互いに異なる国益と優先順位を追求している」点を挙げています。腑に落ちる解説でした。

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私も以前、朝鮮・中国・ロシアの国境が重なるこの地を何度も訪れたことがあります。また行きたいものですね。

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3. 今日の時事韓国語「기자회견」

「キジャフェギョン」と読みます。漢字では「記者会見」です。

30%台と支持率低迷にあえぐ李在明大統領が、近く記者会見を開く準備していると8日、青瓦台(大統領府)の関係者が明かしました。

李大統領には現在、大統領就任により中断中の自身の裁判を取り消すのではないか、憲法改正を通じ二期目の大統領に挑戦するのではないかといった「疑惑」が、野党を中心に提起されています。

「そうではない」と言えばよいものの、李大統領がそう言わないことが、支持率低迷の一因とされているのです。記者会見を通じ、これに言及する可能性があると韓国メディアは報じています。

今日昼間、私が国会で会ったある専門家は、この動きに対し「もう遅い」と批判的でした。疑惑を持たれるようなことをやってはいけない、という根拠からです。

疑惑の中での釈明は結局、「なぜ今までしなかったのか」という新たな批判を招く他にないと指摘していました。このように李大統領、なかなか厳しい状況にあります。

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今日は以上です。

「コリア・フォーカス」のリニューアルは、少しずつ前に進んでいます。いま貯めているものが、10月にはそれなりに花咲くと思います。もどかしい思いもありますが、ここはガマンです。

それではまた明日、お届けいたします。今日もありがとうございました。アンニョンヒケセヨ。(徐台教)

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