韓国で9月26日、『国軍の日』記念式が行われた。『国軍の日』とは朝鮮戦争(1950〜53)当時、韓国軍が当時の南北境界線であった38度線を越えはじめて「北進」した日を記念するもの。本来は10月1日であるが、今年は旧盆(秋夕)の連休と重なるため前倒しで行われた。記念式での尹錫悦大統領の記念辞を全訳した。翻訳は徐台教。

26日午前、ソウル市郊外の城南空港で行われた『国軍の日』記念日で、閲兵式に臨む尹錫悦大統領。韓国国営テレビよりキャプチャ。
26日午前、ソウル市郊外の城南空港で行われた『国軍の日』記念日で、閲兵式に臨む尹錫悦大統領。韓国国営テレビよりキャプチャ。

第75周年 国軍の日 記念辞(尹錫悦)

尊敬する国民の皆さん、国軍将兵と内外貴賓の皆さん。

建軍第75周年国軍の日を心よりお祝いいたします。

今この瞬間にも大韓民国の陸と海、空で国土防衛の任務を遂行している国軍将兵皆さんの献身と労苦に深く感謝いたします。

さらに、遠く他国で世界平和のために献身している派兵将兵の皆さんにも感謝いたします。

これまで自由大韓民国を守護してくださった殉国将兵と創軍元老、参戦勇士、予備役の皆さんにも深い尊敬と感謝の言葉を申し上げます。

そして、将兵の皆さんを物心両面で支え、側で黙々と献身してきた軍人家族の皆さん、韓半島の平和と安定に寄与し、70年の韓米同盟の歴史を共に築いてきた在韓米軍将兵と家族の皆さんにも深く感謝いたします。

尊敬する国民の皆さん、国軍将兵の皆さん。

大韓民国国軍は建国以来75年間、自由民主主義大韓民国守護の最後の砦として、国家防衛の極めて重大な責任を負い使命を尽くしてきました。

わが軍は北韓(朝鮮民主主義人民共和国、北朝鮮)による共産侵略から血で国を守りました。

そして、絶え間ない北韓の挑発に対抗し、一寸の揺れもなく国家安保を守ることで、目覚ましい経済発展の土台を作りました。

光復(訳注:1945年8月15日の日帝植民地支配からの解放)後、まともな武器もない劣悪な環境で胎動したわが軍は、今や敵には恐れを与え、国民には信頼される世界の中の強軍に成長しました。

私たちの手で直接、最先端の戦闘機を開発し、世界最高水準のイージス艦を建造し、優れた性能の戦車、自走砲、戦闘機を史上最大規模で輸出する成果を達成しました。

韓国戦争当時、自由世界の多くの若者が大韓民国の自由を守るために駆けつけたとすれば、今は韓国の若者たちが世界各地の自由と平和を守るために派遣されています。

世界の中の強軍に成長した韓国軍を眺めると、国軍統帥権者として胸いっぱいの自負心を感じます。

尊敬する国民の皆さん、

北韓は過去数十年の間、国際社会の度重なる警告にもかかわらず、核とミサイル能力を高度化させており、ひいては核使用の脅迫を露骨に加えてきています。

これは韓国国民に対する実存的な脅威であり、世界平和に対する重大な挑戦です。

北韓政権が核兵器開発に執着している間、北韓住民の苦痛はさらに増しており、住民に対する北韓政権の収奪や抑圧、人権弾圧は続いています。

北韓政権は核兵器が自分の安全を守ってくれないという事実を、明確に知る必要があります。

韓国軍は実戦的な戦闘能力と確固たる態勢を基に、北韓が挑発してきた場合、直ちに報復するでしょう。

北韓が核を使用する場合、韓米同盟の圧倒的な対応を通じて北韓政権を終息させるでしょう。

政府は強固な韓米同盟に基づき、日米安保協力をさらに強化し、さらに友好国と緊密に連携し、強力な安保態勢を確立していきます。

また、わが国民は北韓の共産勢力、その追従勢力の偽の平和トリックに決して惑わされることはないでしょう。

国軍将兵の皆さん、

韓国軍は韓国型3軸システムを含む、圧倒的な対応能力と報復態勢を整えてつつあり、戦略資産を統合指揮する戦略司令部をまもなく創設します。

最近は北韓のドローン挑発への対応作戦を総括する、ドローン作戦司令部を創設しました。

何よりも、強力な国防力の源泉は、ここにいる国軍将兵の皆さんの透徹した軍人精神と確固たる対敵観です。

平素から、厳正な軍紀を通じ、実戦のような教育訓練に邁進することをお願いします。

尊敬する国民の皆さん、

私とバイデン大統領は、高度化しつつある北韓の核脅威に実質的に対応するため、去る4月『ワシントン宣言』を発表しました。

今や韓米同盟は核を基盤とする同盟へと高度化しました。

韓米核協議グループ(NCG)を通じ、アメリカの核資産と韓国の非核資産を結合した、一体的な対応体系を構築していきます。

韓半島域内に随時展開されるアメリカの戦略資産は、北韓の核への抑止力を強化させるでしょう。

あわせて、韓米同盟の協力範囲を宇宙やサイバー領域に拡大し、連合演習や訓練もさらに強化していきます。

キャンプ・デービッド韓米日の協力体系は、北韓の核への抑止力をさらに強化するでしょう。

私たちが直面している複合危機を克服し、未来の安保脅威に備えるためには、先端科学技術に基づいた国防の革新を必ず成し遂げなければなりません。

人工知能と有人・無人の複合戦闘システム、宇宙とサイバー、電子機器など未来の戦場を主導する力量を、飛躍的に発展させていかなければなりません。

また、将兵のための投資をしっかりしなければ、強軍を作ることはできません。

わが将兵たちの服務条件と兵営の環境を画期的に改善し、最高水準の戦闘力量を引き出せるように支援します。

将兵の報酬、補給、給食、住居、医療、すべての部分において戦闘力量増進のための支援を確実にします。

私たちの防衛産業は世界に向けて広がっており、多くの国が私たちの武器の優秀性に賛辞を送っています。

未来の成長動力であり、先端産業を牽引する防衛産業が国家安保に寄与し、経済発展の先導産業に成長できるよう、政府レベルの支援を強化します。

尊敬する国民の皆さん、誇らしい国軍将兵の皆さん、そしてこの場にご一緒してくださった内外の貴賓の皆さん、

私たちは歴史を通じ、強い軍隊だけが真の平和を保障することを知っています。

国民の皆さんの軍に対する信頼と愛情が、強い軍隊を作るためには必ず必要です。

私は国軍統帥権者として敵には恐怖を、国民には信頼を与える強い軍隊を作るために最善を尽くします。

改めて、建軍第75周年国軍の日を偉大な国民とともにお祝いいたします。

ありがとうございます。