大日本帝国による植民地支配下の1919年3月1日、独立を求めソウルをはじめ全国で人々が立ち上がった「3·1独立運動」。その107回目の記念日を迎えた1日、ソウルCOEXで記念式が行われた。李在明大統領による記念辞を日本語に全訳した。李在明氏にとっては、はじめての「3·1節」記念辞であった。

●第107周年「3·1節」記念辞
尊敬する大韓国民と700万人の在外同胞の皆さん、独立有功者と遺家族の皆さん、107年前の今日、大韓独立万歳の力強いかけ声が世界に向け響き渡りました。
その日は皆が一つでした。 階層や身分の違いも、年齢や性別の違いもありませんでした。 嶺南(訳注:南東部の慶尚道地域)と湖南(訳注:南西部の全羅道地域。両地域の間には「地域感情」と呼ばれる、政治により形成された葛藤がある)は一つで、左と右も一緒でした。
平壌(ピョンヤン)から、ソウルから、釜山(プサン)から、新義州(シニジュ)から、文字通り漢拏(ハルラ)から白頭(ペクトゥ)まで(訳注:津々浦々の意)、全国が万歳の声で満ちていました。
先烈たちは日本の弾圧に対し、国内では実力抗争(訳注:暴動や放火、破壊など実力を伴った運動)をもって、海外では武装闘争と外交闘争で立ち向かい、その精神を大韓民国臨時政府の樹立へとつなげました。
小さな違いよりも大きな大義のために一つに団結したからこそ、3·1革命はついに、光復の喜びとして実を結ぶことができました。
107周年となる3·1節を迎え、国の独立のために命を捧げた愛国先烈たちに無限の尊敬と惜しみない賛辞を送ります。生存されている4名の独立功労者と、(亡くなった独立功労者の)遺家族にも、深く感謝申し上げます。
祖国の独立のため、子孫が生きる明日の希望のためにすべてを投げ出した先烈たちがいなければ、今日私たちが享受している、自由と繁栄の大韓民国は決して存在しなかったでしょう。
したがって、先烈たちの献身を称え礼遇することは、特別な犠牲に対する特別な報償であり、共同体を維持するための最低限の措置なのです。
昨年の光復節(8月15日)に明らかにしたように、叙勲されていない独立有功者の発掘・報償を拡大し、独立有功者の遺族をより手厚く支援するため格別な注意を払います。
孝昌(ヒョチャン)公園一帯を「国立孝昌独立公園」と指定し、上海臨時政府庁舎の広範な活用策を作り、先烈たちの独立精神を代々称えていきます。
さらに、白凡・金九(キム・グ)先生の誕生150周年を迎える今年、すべての国民が参加する記念事業をもって、その崇高な意志を引き継いでいきます。
「独立運動をすれば三代が滅びる」という自嘲的な言葉が消え去り、国家のために献身された方々が尊敬され、共同体を裏切る行為は厳しく審判される、そんな、常識が通じる公正な国を必ず作り上げます。
尊敬する国民の皆さん、3·1革命が起きた一世紀前の世界は、強者が弱者を収奪する激動の時代でした。
私たちを含む多くの国々が国権を奪われ植民地支配の痛みを経験しました。
世界大戦の惨禍を経た後でこそ、国際社会は新しい規範を作り、国家間の紛争を調整し、平和を管理してきました。
しかし、一世紀が過ぎた今日、世界は再び激変の時期を迎えています。 第二次世界大戦以降80余年にわたり確立されてきた国際規範は、力の論理によって深刻に脅かされています。
同じ過ちを繰り返さないためには、私たちは過去の歴史から教訓を見つける必要があります。
わが先烈たちの3·1革命の精神は今日、私たちを含む全世界の人々に大きな大きな教えを与えています。
3·1革命は独立宣言であると同時に平和宣言であり、私たちが進むべき平和と共存の未来を提示した羅針盤でした。
私たちの先烈たちは「3·1独立宣言」を通じ、「新たな技術と独創性で世界文化に貢献する機会を失ったこと」を嘆きました。
独立を迎えるるならば、「何千年も磨き上げてきた人道的精神で、新たな文明ののぼる光を人類の歴史に照らす」と、壮大な抱負を明かしもしました。
国民が真の主人となる民主共和国を夢見たし、力を押し出し他国を収奪するのではなく、互いに共感し、共に連帯し、ひとつに仲良く生きる、平和な大同世界を夢見ていました。
再び民主主義と平和が脅かされるこの危機の時代に、私たち皆が3·1革命の精神を、深く心に刻まなければならない理由です。

1919年の私たちは力を持たない植民地の民の身分でしたが、2026年の大韓国民は世界の人々の心を動かす力と、世界を変える無限の可能性を持つ存在になりつつあります。
私たちの大韓民国は、植民地から解放された国の中で、産業化と民主化を同時に成し遂げた唯一の国です。
偉大な私たち大韓国民は、解放以降「漢江の奇跡」により産業化を成し遂げました。
独裁の抑圧の中でも「4·19革命」や「5·18民主化運動」、「6·10民主抗争」を通じて民主主義を実現し、ろうそく革命(訳注2016年〜17年にかけての朴槿惠大統領弾劾集会)と光の革命(24年12月3日の尹錫悦大統領による非常戒厳から25年4月の憲法裁判所による尹氏罷免決定まで市民が続けた運動)で国民主権の光を照らし、世界を驚かせました。
「生活を豊かにできる」世界10位圏の経済力と、「他国の侵略を防げる」世界5位の軍事力を備えたわが大韓民国は、世界で7位の影響力に達する「高い文化の力」を活かし、理解と共感の幅を広げ、平和を拡散し、先烈たちの夢を現実に変えています。
これを可能にしたのは、私たち国民の血の中に脈々と受け継がれてきた3.1革命の精神でした。
私たちの先烈たちが主唱し、私たち国民が受け継いできた3·1革命の精神こそ、民主主義と平和が揺らぐこの危機の時代を生きる世界の人々を、新しい希望の世界へと導く明るい光であることは明らかです。
尊敬する国民の皆さん、
先烈たちが切実に願った平和と共存の夢を、今、ここ、韓半島(朝鮮半島)から実現していきましょう。
敵対ではなく共存と協力で、不信ではなく信頼の土台の上で共に成長する平和な韓半島を作ることこそが、3.1革命の精神を完全に継承する道でしょう。
敵対と対決は互いのいかなる利益にもならないという、確固とした歴史の教えを決して無視してはいけません。
半世紀を軽く超えるあいだ続いてきたこの葛藤と対立時代を終わらせ、平和と共存共栄の韓半島に向かって、力強く進んでいきましょう。
これまで何度も明らかにしてきたように、私たちの政府は北側の体制を尊重し、一切の敵対行為も、いかなる吸収統一の追求も行いません。
言葉ではなく行動で南北間の軍事的緊張を緩和し、相互の信頼を回復するための様々な措置を先制的に講じてきたように、韓半島の平和と南北間の信頼回復のために必要なことを、一貫して持続的に推進していくつもりです。
この政府の意向とは全く関係の無いところで起こった昨年の無人機侵入事件(訳注:昨年6月の李在明政権発足後、少なくとも4度、民間人による北朝鮮側へのドローン侵入の試みがあったこと)は、韓半島の平和を脅かす重大な犯罪行為であり、決してあってはならないことでした。
南北が共に生きるこの韓半島で緊張や衝突を引き起こす行為は、どんな言い訳を持ってしても正当化されることはありません。二度とこのようなことが起こらないように、徹底して真相を究明し、責任を問うとともに、制度的な防止策を講じていきます。
北側との対話再開の努力も引き続き行っていきます。「ペースメーカー」として、北米(米朝)間の対話が早くに再開されるよう、米国はもちろん周辺国としっかり疎通を図ります。
南北間の実質的な緊張緩和と関係国の協力を通じて、停戦体制を平和体制に転換できるよう全力を尽くします。
北側も新しい5か年計画を策定・施行していくこともあり、早急に対話の場に出て、暗い過去を後にし、新しい未来に向けて共に進んでいけることを期待します。
世界平和を願った先烈たちの万歳の声が「平和と共同繁栄の韓半島」に向けた、南北共同の誓いとして再び響き渡ることを願っています。

日本との関係もまた、平和と共栄を追求した3.1精神を基に発展させていかなければなりません。
韓国と日本の両国は、波乱に満ちた歴史を共に歩んできました。
まだ私たちの社会のあちこちには、胸が痛む歴史の痕跡が残っており、苦しむ被害者や遺家族の方々がいます。
過去、両国は癒されない痛みと傷を抱えながら、善隣友好と協力の未来のため、国交正常化の扉を開きました。
去る60年間、韓日両国は外交、経済、社会、文化などすべての分野で協力の深さを増し、前庭を共有する近隣国として、関係を発展させてきました。
厳酷な国際情勢に直面している今こそ、韓日両国が現実に対応し、未来を共に切り開くべき時です。
国民主権政府(訳注:李在明政府)は実用外交を通じ過去を直視し、現在の課題を共に解決し、未来に向かって共に進んでいけるよう努力します。
今後も日本とのシャトル外交を継続し、両国の国民たちが関係発展の効果をより体感し、新たな機会を共に切り開いていけるよう、積極的に支援していきます。
両国が「真の理解と共感に基づく仲の良い新しい世界」を開くため、日本政府も応えてくれることを期待します。
激変の時代に賢く対応するためには、東北アジアの和合がいつにも増して重要です。
かつて安重根(アン・ジュングン)義士は『東洋平和論』を通じ、韓中日3か国間の協力が、世界の平和に寄与する道であることを力説しました。
東北アジアの平和と和合の意義を反すうし、私は年初から中国と日本を続けて訪問し、韓中日3国が共通の接点を見つけ疎通し、協力すべきという点を強調してきました。
東北アジアの平和を世界の平和へとつなげようとした先人たちの願い通り、和合と繁栄のための努力を止めないでしょう。
尊敬する5200万人の大韓国民の皆さん、700万人の在外同胞の皆さん、
先烈たちは小さな違いを超えて一つにまとまり独立を成し遂げ、韓国の基盤を築きました。
その精神を受け継いだ、私たち偉大な大韓国民たちが共に力を合わせ、私たちが持つ潜在能力を完全に発揮するならば、先烈たちが夢見た平和な世界を現実にできない理由はありません。
私たちの殉国先烈と愛国志士たちが命をかけて望んだ先進的な民主模範国家、戦争の心配のない平和な韓半島、文化が花開き繁栄する大韓民国を、私たちが共に力を合わせ作り上げていきましょう。
3·1革命の精神で、平和と民主、相生(共生)と共栄の道を共に開いていきましょう。
偉大な大韓国民と共に、先烈が望んでやまなかった、その光に向け進んでいきます。
ありがとうございます。

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