
訪米中の李在明大統領が22日(現地時間)、ニューヨークの国連本部で基調演説を行いました。日本語全文訳を掲載します。テキストは青瓦台(韓国大統領府)発表のものを利用し、文責は徐台教にあります。
李在明大統領、第81回国連総会基調演説
はじめに人類共栄の未来のために献身しておられる、国連加盟国の皆様ならびに国連職員の皆様に、感謝と敬意を表します。
カリルール・ラフマン(訳注:バングラデシュ外相)第81回総会議長の就任を、心よりお祝いし、過去10年間ご尽力されたアントニオ・グテーレス事務総長の労苦にも、感謝と敬意を表します。
議長様、そして事務総長様、各国の代表の皆様。人間の尊厳を守り、未来の世代のための道を切り拓いてきた国連の歴史は、今、重大な試練の場に立たされています。
ネパールで発生した氷河による洪水は、数多くの命を奪い、暮らしの基盤を崩しています。気候危機がまさに今日の問題であることを赤裸々に示しました。
ウクライナや中東を含む世界各地の武力紛争が人類の生存を脅かします。
ドローンをはじめとする新技術が戦争の様相を急速に変え、人権と国際法の秩序に深刻な挑戦を突きつけています。
ホルムズ海峡をめぐる緊張は、「自由で安全な航行」という基本原則さえ揺るがし、エネルギー供給網の不安定性を深刻化させています。
「国連は私たちを天国へ連れて行くためではなく、地獄から救うために創設された」
第2代国連事務総長ダグ・ハマーショルドが残したこの言葉の前で、私たちは自分自身に問い直さなければなりません。
今日の国連は、戦争や貧困、災害から果たして人類を救っているのか。平和を守り、持続可能な発展を成し遂げるという約束を、きちんと実践しているのか。
国際秩序の激変がもたらした地政学的危機は逆説的に、多者主義的な協力と国際規範がいかに貴重な資産であるかを私たちに気づかせてくれています。
目先の生存をかけて激しく競争する分断の時代、協力と相生(共生)、連帯という価値が空虚に聞こえるかもしれません。
しかし、戦争の砲火を身をもって体験し国連を設計した先覚者たちのように、危機が深まれば深まるほど、国連の基本精神に必ず立ち返らなければなりません。
1年前、私はこの場で世界市民の灯となる、私たち大韓民国が国際社会に復帰したことを堂々と宣言しました。
本日、私はこの場で、国際社会の連帯を踏まえて立ち上がった私たち大韓民国が、国連の精神を復元し、世界を再びつなげることの先頭に立つという、大胆な意志をはっきりと示そうと思います。
K−カルチャーの世界的な拡散は、人類普遍の共感が可能であることを証明し、つながる可能性を示した一つの事例です。
韓国だけが持つ特殊な経験から出発した物語とコンテンツが、国境を越えた「連帯の言葉」となりました。
文化が人と人をつないだように、国と国も、共通の問題の前ではいくらでも再びつながることができます。

私たち大韓民国は、文化の領域で確認した共感と連帯の力を、人類共通の課題を解決する力へと拡張していこうと思います。
その約束を現実に形作る、「K−イニシアティブ」の三つのビジョンについてお話ししたいと思います。
第一に、「グローバルAI基本社会」です。
人工知能の革命は、人類にとって大きな機会であると同時に危機でもあります。新たな繁栄と持続可能な発展を牽引する核心的な原動力ですが、十分に準備できない場合、不平等と不均衡がさらに深まることは明らかです。
特に追いつくのも大変な変化のスピードのため、世界中の若者たちが、仕事や将来に対する不安を抱えています。
私たちが築くべき新しい時代の基準は明確です。技術発展の恩恵を皆で共に享受する「AI基本社会」です。
大韓民国は「AI基本医療」を皮切りに、社会保障や労働、住居、文化など、人生のさまざまな領域において、基本的権利を厚く保障する、AI大転換を推進しています。
これは「誰一人取り残さない」という原則を掲げていた、国連の持続可能な開発目標(SDGs)の核心的な精神と密接に関わっています。
人工知能革命を「経済・社会・文化的権利(ESCR)」の実現を引き寄せる、新たな原動力として活用することでもあります。
大韓民国はこのビジョンを国際社会と共有するために、国際機関、多国間開発銀行、産業界と学界が協力するプラットフォーム、「グローバルAIハブ」を造成します。
私たち大韓民国は、AI発展の基本的な恩恵において、どんな国も、どんな人も排除されない「グローバルAI基本社会」を夢見て、人工知能が気候危機、保健、食料、難民問題をはじめとする、人類共通の難題を解決する優れた道具となるよう、先頭に立って取り組んでまいります。
第二に、「グリーン大転換」です。
気候危機はしばしば、「80億の人類が共に取り組むグループ課題」と呼ばれます。ひとつの国の努力だけでは決して解決できない問題であり、成長を放棄するやり方では、多くの国の参加を引き出すことはできません。
大韓民国は「2035年国家温室効果ガス削減目標」を設定し、パリ協定と国連を中心とした気候危機への対応に積極的に参加しています。
同時に「韓国型グリーン大転換(K-GX)戦略」を通じて産業体質を変革し、炭素中立(カーボンニュートラル)が新たな成長動力と質の高い雇用につながる、好循環の道を切り拓いてまいります。
この過程で得た経験と成果を国際社会と惜しみなく共有していき、2028年にチリと共同開催する「第4回国連海洋総会」を通じて、持続可能な海洋発展に向けた議論をリードしてまいります。
第三に、グローバルなエネルギー供給網のための連帯です。
最近、ホルムズ海峡と紅海で繰り返された海上封鎖は、エネルギーと物流の核心通路が武器化されるとき、世界中の人々の日常がどれほど大きな衝撃を受ける可能性があるかを、赤裸々に示しました。
国際海峡の自由で安全な通航は、国際法が保障する権利であり、世界経済を支える確固たる基盤です。
商船を攻撃し、船員の生命と安全を脅かす行為は、いかなる理由でも正当化されることはありません。
大韓民国は国際エネルギー機関(IEA)をはじめとする、既存の協力体制を積極的に活用すると同時に、供給網(サプライチェーン)の危機が世界の経済・民生の危機に波及しないよう、エネルギー供給網の協力をより緊密に強化していきます。
あまりにも当然ですが、このような課題は大韓民国だけで解決することはできません。だからといって、すべての国が一つの解決策に合意するまで、ただ手をこまねいて待つわけにもいきません。
いま必要で、かつ最も現実的な方法は、グローバルな公共財を供給する能力と意志を備えた国々が先に手を取り合い、協力の空間を広げていくことです。
私はこれを「建設的な寄与国の連帯」と呼びたいと思います。
排他的な機構やグループを新たに作ろうということではありません。既存の国際秩序と国連の機能を尊重しながら、各国がそれぞれの強みを持つ分野で、柔軟かつ開放的な方式で協力し、その範囲を徐々に拡大していこうというものです。
このように「別々に、そして共に」生み出した協力の成果が蓄積されるとき、地政学的競争と膠着、分節を超え、多者(多国間)主義に対する私たちの信頼を復元できるでしょう。

時代の変化に歩調を合わせ、国連もまた変わらなければなりません。
会議場で成立した合意が現場の変化につながり、世界の市民がその成果を日常生活の中で実感できなければなりません。
組織と事業の重複を減らし、意思決定はより迅速に、限られた資源は最も切実な現場に集中されるべきです。
大韓民国は今よりも効率的で、現場を重視し、より多くの成果を生み出す「国連80イニシアティブ」を支持します。
安保理をより効果的、より民主主義的で、より責任ある形で機能するようにする安保理改革についても、積極的に支持します。
大韓民国は、平和・開発・人権という国連の三本柱の全般にわたり、世界の市民が実感できる成果を創出できるよう、責任と役割を果たしてまいります。
「釜山グローバル・パートナーシップ・フォーラム」を通じて包容的な成長を支援し、セマウル運動のような歴史的経験を共に分かち合い、持続可能で革新的な投資を続けてまいります。
議長様、事務総長様、そして各国の代表団の皆様、
私たち大韓民国は、韓半島の平和という側面においても、国連がもたらした変化を誰よりもよく知っている国です。
35年前、南北はまさにこの場所で共に国連加盟国となりました。これは分断以降続いていた競争と対立から脱し、平和共存の基盤を築いた決定的な契機であったことを否定できません。
私は昨年この場で、「平和共存と共同成長の韓半島」に向けた、新たな旅路を始めると明らかにしました。
私は今日、その新しい旅の途上で、韓半島の平和共存の方向性を込めた三つの青写真を、国際社会の前で宣言したく思います。
第一に、互いを尊重する包容的な平和共存です。南北間は相互の体制を尊重し、違いを認める土台の上で、協力を通じた共同成長を模索してまいります。
国際舞台においても北側を尊重し、協力すべきことは協力していきます。保健、災害、気候危機など国際社会のレベルで、共に協力できる道が開かれることを期待します。
第二に、争う必要のない安定的な平和共存です。危機を防ぎ、葛藤を統制する制度的な仕組みを整えていきます。
基本的な(南北をつなぐ)連絡チャンネルから復元し、信頼を築いていくことが安定した平和共存への第一歩になると信じています。
第三に、世界平和に貢献する、責任ある平和共存です。
戦争と核のない韓半島を越え、東北アジアの安定と協力を促進し、戦争と紛争のない世界を目指す努力に、積極的に参加します。
何よりも最も核心的な課題は、韓半島の長年の戦争を終結させ、平和体制を構築することです。
朝鮮半島の平和体制は、長期間にわたり南北はもちろん、米国や中国など、関係国もその必要性について共感し、議論してきた重要な課題です。
幸いにも、最近のトランプ大統領の決断により、変化の可能性がようやく作られようとしています。
大韓民国は、長い間停滞していた米朝対話が速やかに再開され、韓半島の戦争終結と平和体制への転換のための当事者間の対話へと発展させる、足がかりを築いてまいります。
韓半島に平和体制を構築するための対話は、当事者間の関係正常化だけでなく、多者(多国間)協力を通じた共同成長、東北アジアの安定と協力を促進するという、非常に有用な枠組みになると確信しています。
このような過程において、まず北側の核・ミサイル能力の高度化を中断させ、中期的に縮小を経て、長期的には核のない韓半島に向かって進んでいけると考えます。
35年前、朝鮮半島の平和共存という決定的な瞬間を生み出した国連、そして、国際社会の平和と安定を守ってきた安全保障理事会において、今回も責任ある、建設的な役割を果たしてくださるよう期待します。
私たちの政府は韓半島平和の当事者であり、ペースメーカーとして、対話の道を開き、またそれをつないでいくために、全力を尽くしてまいります。

議長様、事務総長様、そして各国の代表団の皆様、
国連の真の成果は、報告書の中の数字やグラフ、会議場での宣言だけでは証明されません。
砲声の止んだ場所に子どもたちの笑い声が戻り、若者たちが学びと仕事、挑戦の機会を享受し、世界のどこにいても、誰もが自分の望む人生を選べるとき、これによって初めて、国連の存在理由が明確に証明されることになるでしょう。
2015年、国際社会は明るい未来に向けた共同の約束として、持続可能な開発目標(SDGs)を採択しました。
2030年が近づく今、私たちは次世代のための新しい未来を準備しなければなりません。
この過程で未来世代である若者たちが一緒に問題を整理し、解決策を設計し、実行を主導する共同の設計者になるべきです。
若者の声が国際社会の意思決定により多く反映されるよう、参加とコミュニケーションの扉をさらに広げ、次世代の可能性に果敢に投資しなければなりません。
大韓民国は、国連という名称が持つ崇高な連帯の力を、誰よりも生々しく証言できる直接の当事者です。
国際社会が心を一つにして行動するとき、ある奇跡のような変化を生み出すことができるのか、戦争の廃墟の中で工業化と民主化を成し遂げた、この大韓民国の存在こそがまさにその証拠です。
これからは、より大きな責任と貢献でその連帯にお応えいたします。
切れ切れになった世界を再びつなぎ、誰ひとり取り残されない未来をつくり、次の世代がより良い明日を夢見ることができるよう、大韓民国が率先して取り組んでまいります。
平和共存の韓半島に向けて、「すべての人のために成果を上げる国連」の未来に向かって、大韓民国が先頭に立って大胆に前進してまいります。
長時間にわたりお聞きください、心より感謝申し上げます。

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